工事請負契約における支払い条件に決まりはありません。支払い条件を出来高払いや後払いにすることが、万が一、住宅会社が倒産しても被害を少なくする方法です。
支払い条件によって被害が少なくなる
住宅会社が倒産していちばん困ることは・・・・・お金です。
特に、小さな工務店よりも、ハウスメーカーの場合には過払いになっていることが多く、過払い分はほとんど戻ってきません。
工事代金の支払い方法を考える
建築請負工事契約の標準的なものには、支払い方法を次のように記載しているものが多いものです。
- 契約時に3割
- 中間時(上棟時)に3割
- 引渡し時に残金
この支払い方は、昔から行なわれていた慣例なのです。
棟梁は依頼を受けると、工事の準備に入りますが、準備にはお金が必要となります。材料を買付け協力してくれる職人さんには着手金を支払ったりします。
その為の必要なお金を施主からいただいて支払っていました。
だから、建主さんのことを施主(せしゅ)=ほどこしぬし と言うのです。
契約金は、実は契約金ではナイ!
上に書いたような慣例が、今もつづいているわけですが、昔のように、お願いした棟梁は、一度に何棟もの住宅を手掛けたりはしません。
1棟ずつ順番に引渡しをしていきます。ところが、現代のようにハウスメーカーで建てる人が多くなってくると、だいぶん事情が異なってきます。
ハウスメーカーは一度に何棟もの住宅を手掛けます。そして建主さんからいただいた契約金は『これはAさんの分、これはBさんの分』と帳簿では分けてありますが、実際のお金はいろんな目的に使うお金といっしょになっています。
どんな会社にもいわゆる下請けさんという協力会社があります。下請けさんは継続的に仕事をしていますので、毎月支払いが発生します。
毎月支払う外注費や仕入代金を、決った方法で支払っているのですが、この支払い方法にはいろんな方法があります。
- 月末〆の翌月末に現金払い
- 月末〆の翌々月末に現金払い
- 月末〆の翌月末に約束手形払い
たとえばこんな感じでしょうか。
約束手形というのは、現金の代わりに証書のような紙に金額が書かれたものですが、そこには支払期日が書かれています。
3ヶ月先になっているものや、6ヶ月先になっているものもあります。
こうして、支払いを先延ばしにしながら、資金の回転率を高める方法がとられています。実はここに、住宅会社が倒産した時に、被害を受ける建主さんが多くなってしまう原因があります。
支払った契約金は、半年前の引渡し物件の支払いに当てられている!
請負契約の支払い方法は出来高払いに
もしも住宅会社が倒産した時・・・・・被害を少なくする方法とは?
前払いはしない!!
これに尽きます。
契約金はせいぜい100万円ぐらい、あとは毎月、工事の進み具合によって支払っていきます。
これを出来高払いと言います。
住宅ローンを利用する方は、契約金だけを支払ったら、あとは完成後の融資実行によって支払う。
これであれば、過払いになることはありません。
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