しかし建売住宅を選ぶには外見だけではわからない大事なポイントもあるのです。
建売住宅はブランドで選ばず中味で選ぶ
住宅には必要とされる性能があり、性能を満たしていない物件を「瑕疵」があるとか「欠陥住宅」と称します。有名な大手不動産会社にもこのような物件があり、ブランドだけでは信頼できないのが実態です。
ポイントは2種類ある住宅性能基準のどちらに分類される物件なのか、そして住宅性能が本当に満たされているかどうかを確認することです。
住宅性能基準を満たしているのは当たりまえ
住宅に必要な性能基準は2種類あります。
- 住宅金融支援機構の技術基準
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律による日本住宅性能表示基準
新築の建売住宅は「住宅金融支援機構の技術基準」を満たしていることはいうまでもありません。さらに「住宅性能表示制度」にもとづく評価を受けるときは、その基準も満たしています。
住宅性能制度の利用率は約2割とされており(引用:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」 )、販売されている建売住宅は最低限「住宅金融支援機構の技術基準」を満たした住宅であり、その約2割が住宅性能を明らかにした住宅といえるわけです。
「住宅金融支援機構の技術基準」はいうまでもなく “フラット35” の基準ですが、地域により断熱性能基準が異なり各建売メーカーは、該当する基準か又はそれを上回る性能に設定しています。
性能という面では建売メーカーにあまり差はなく、性能面で建売住宅を選択する場合は、住宅性能表示制度による評価を受けた住宅を選ぶ方法があります。
10年保証と住宅性能評価の関係
新築住宅には「10年保証」が義務づけされています。住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保促進法)第95条 には次のように規定があります。
(新築住宅の売主の瑕か 疵し担保責任の特例)
第九十五条 新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について、民法第五百七十条において準用する同法第五百六十六条第一項並びに同法第六百三十四条第一項及び第二項前段に規定する担保の責任を負う。この場合において、同条第一項及び第二項前段中「注文者」とあるのは「買主」と、同条第一項中「請負人」とあるのは「売主」とする。
平成12年4月からの住宅品質確保促進法施行により、ふたつの制度がスタートしました。
- 住宅性能表示制度
- 住宅性能保証制度
似たような名前の制度ですが役割が異なります。
- 住宅性能表示制度
- 住宅性能を第三者機関が評価し性能値を等級別に表示するため、消費者は検討物件を客観的に検討出来ます。
- 住宅性能保証制度
- 10年保証に対応するため売主や施工業者に対し、無償補修や損害賠償をおこなうバックアップ体制を整備する保険制度であり、平成20年に「住宅瑕疵担保履行法」にもとづく「瑕疵担保責任保険」制度に引継がれています。
売主や業者は10年保証のため「瑕疵担保責任保険」に加入するか、「保証金の供託」をおこないます。これはすべての新築住宅が適用されます。さらに一部の住宅は「住宅性能表示制度」により、第三者機関が性能を評価し万一事業者側と紛争が生じた場合の「紛争処理」を受けることができます。
住宅性能表示住宅を選ぶメリット
住宅性能表示制度による評価を受けた住宅は、万一紛争が生じたときに「指定住宅紛争処理機関」に申請をし、紛争処理を依頼することができます。
10年保証は業者への義務づけと同時に、業者が倒産した場合でも補修工事などに弊害が生じないようにすること。そしてオプションですが「完成保証」によって、工事途中の業者倒産にも対応できる制度になっています。
しかし “倒産” は極端として、実際には10年保証の適用にあたって、紛争がおこっている事例はたくさんあります。そのようなときに「紛争処理制度」を利用できることは、業者側としても対応に気をつけなければならない動機づけとなり、紛争が大きくならずに済む効果を期待できます。
住宅の性能についても、住宅性能表示住宅以外は客観的に性能を明示したものはなく、「たぶん大丈夫だろう! 」といったあいまいな根拠しかありません。
現代の住宅は性能面や耐久性において、きちっと造ったものは寿命の長い住宅になります。図のように「性能表示住宅」は全体の2割ほどしかありませんが、選ぶなら性能の評価された住宅が望ましいでしょう。
建売住宅を選ぶ実践手法
建売住宅を性能面で選択するのは前述したとおり、「性能表示住宅」か否かのチョイスしかありません。「性能表示住宅」以外の場合は、施工品質により性能が変わるので “住んでみないとわからない” のが実情です。
そこで以下のふたつのポイントを確認するようにしてください。
- 引き渡し書類を事前に確認
- 注意したい業者の特徴
引き渡し書類を事前確認
建売住宅の引渡し時には多数の書類が渡されます。書類の内容はおろか “何を記載した書類” かすらわからず引き渡しを受けることがほとんどです。
物件を下見し検討している時点で、これらの「引き渡し書類」のリストを確認することをお勧めします。一般的に次のような書類があります。
- 建築確認済証
- 検査済証
- 設計図面・仕様書
- 保証書
- 保険付保証明書
- 住宅設備機器取扱説明書
- 地盤調査報告書
- 重要事項説明書添付資料
- 登記識別情報
- 建設住宅性能評価書(住宅性能表示住宅の場合)
このうち契約前でもみせてもらえる書類を確認しましょう。それと引渡し時にもらえない書類がないかも確認することが大切です。
さらに重要なことが “地盤調査報告書” です。地盤の強度を確認する調査報告書ですが、結果によって杭打ち工事をおこなうか地盤改良工事、または特に地盤補強の必要がないのか判断できるものです。
地盤については「10年保証」の対象ですが、万一不備があった場合の補修費用はたいへん大きなものになります。 “保証があるから大丈夫! ” と安心するのでなく、適切な補強方法を採用しているかどうか専門家に確認してもらうことも大切でしょう。
こんな建売住宅業者は要注意!
- 引き渡し書類が少ない業者
- 前述したように引渡し時に提出してもらえる「引き渡し書類」が少ないのは論外です。万一紛争がおき裁判になった場合引き渡し書類は重要な “証拠” になるのです。
- 契約を急がせる業者
- 住宅ローンを利用する場合「事前審査承認後」に契約をするのが原則です。事業主によっては事前審査なしで契約させ、 “ローン特約条項” もまともに適用できない状態にし、金利の高いローンを借入させるか、手付金を没収または契約違約金まで請求するケースも少なくありません。
- 建築工事に実績のない業者
- 新築住宅のノウハウも実績もない業者が、 “土地販売” を目的にして建てた建売住宅は、工事を丸投げし建物に対する品質管理意識が低いので、施工品質に問題のあるケースが多い。
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