民法改正によって住宅関連の法律も改正されます。消費者保護の面もありますし、住宅会社の負担を軽減する面もあります。120年前に制定した民法を現代の社会通念に合致したものになりそうです。
住宅関連の法律改正の内容
住宅の新築工事やリフォーム工事、建売住宅の売買契約や中古住宅の売買契約など、住宅に係わる法律は、建設業法・宅地建物取引業法・住宅の品質確保の促進等に関する法律の他にも、消費者契約法そして民法によっていろんな制限や規制があり、トラブルが起きないよう万が一トラブルが起きた時には、なるべく円滑に解決されるよう法整備がされています。
120年ぶりとなる今回の改正によって、工事請負契約や不動産売買契約における“瑕疵”に関する債権・債務のトラブルが減少するかもしれないという期待がありますが、その変更の内容を見てみます。
瑕疵担保責任
“瑕疵”という言葉が建築工事や不動産売買では必ず出てきましたが、民法からこの言葉が無くなります。
- “瑕疵”は“契約不適合”に変わります
- “瑕疵担保責任”は“債務不履行責任”に変わります
なんとなく分かりやすい言葉に変わりますが、変わるのは民法だけで、品確法・建設業法・宅建業法では引き続き“瑕疵”を使います。その為、契約書の契約条項などでは「契約不適合(瑕疵)」とか「瑕疵(契約不適合)」といった表現に変わるかもしれません。
言葉だけでは無く“瑕疵”の内容についても変わります。不具合があり住宅会社に補修の請求をする際、不具合の原因が工事の過失であった場合は、会社側の責任になりますが、過失が無かった場合は住宅会社の責任とはなりません。
*ただし、住宅会社は過失が無いことを証明しなければなりません。
不具合や瑕疵工事の補修請求の際、現行法では同時に損害賠償請求も出来たのですが、改正によって、補修が出来ない場合に賠償請求できることになります。
このあたりの改正は、業者側の負担を軽くしようという意図があるのかなと思います。
瑕疵担保責任の時効期間
現行の民法では、瑕疵担保責任の期間を木造で5年、非木造で10年と定めています。これらの期間は「除斥期間」と言い、この期間が経過すると瑕疵担保責任は無くなります。
改正後は除斥期間が無くなり「消滅時効」になります。つまり、時効期間が経過すると、住宅会社が時効を宣言することによって時効が成立しますが、宣言しないあるいは宣言できない場合など、宣言が無い限り時効は成立せず瑕疵担保責任は継続します。
木造・非木造によって期間が異なっていましたが、構造による区分は無くなります。
消滅時効の期間は次の二つのうちどちらか短い期間となります。
- 権利を行使できる時から10年間
- 権利を行使できることを知った時から5年間
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