不動産取引において“農地”が対象不動産になることがあります。宅建業法では農地であっても、都市計画法で定める12種類の用途地域内にある土地の取引については“宅地”として扱い、宅建業法の適用を受けます。また、都市計画区域外の土地であっても、建物を建てる目的で取引される土地は“宅地”であり、「田」や「畑」などといった農地も“宅地”になります。
ここでは農地の取引に関する「農地法」について解説します。
ここでは農地の取引に関する「農地法」について解説します。
農地法において重要事項説明で説明すべき項目は以下の通りです。
- 農地又は採草放牧地の権利移動の制限-第三条第一項
- 農地の転用の制限-第四条第一項
- 農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限-第五条第一項
農地法最終更新:平成30年5月18日
不動産取引における農地法の位置づけ
農地法は重要事項として説明するというよりも、不動産取引そのものに制限を与える法律です。
説明するのはもちろんのこと、農地法にもとづいた制限に従い取引を進めなければなりません。
説明すべき条文とされているのは冒頭に記載した3条文です。
- 農地の売買などの権利移動が制限されています-第三条第一項
- 農地を農地以外の目的で使用することが制限されています-第四条第一項
- 農地を農地以外の目的で使用する目的で売買などの権利移転が制限されています-第五条第一項
条文の要点をまとめたものが以下です。
- 農地又は採草放牧地の権利移動の制限-第三条第一項
- 農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。
- 農地の転用の制限-第四条第一項
- 農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事等の許可を受けなければならない。
- 農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限-第五条第一項
- 農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のものにするため、これらの土地について権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。
農地の売買や農地以外の用途に使用する場合は許可が必要です。
不動産取引の現場でよくあるケースは第5条による、市街化区域内の土地を農地転用する場合です。
市街化区域内の農地転用
市街化区域内の農地転用については、許可は必要なく農業委員会に届出をします。
農地であっても市街化区域の土地については、積極的に宅地化することが望ましいとされており、許可の必要はなく短期間で手続きが済みます。
届出をすると「農地転用届受理通知書」が発行されます。登記申請の際には受理通知書の添付が要件とされています。
つまり、市街化区域内の農地の売買契約は「受理通知書」によって効力が認められるというわけです。逆に云うと、受理通知書が無ければ契約は無効になってしまいます。
転用届が受理されると地目変更が可能になります。地目変更は農地から宅地に変更できる場合もあれば、農地から雑種地または原野に変更し、建物の建築時に“宅地”に変更するパターンもあります。
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