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「古都保存法」に関して説明すべき重要事項と法律の背景

古都保存法は正式名称を「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」と言い、重要事項説明で説明すべき規定は第8条第1項の「特別保存地区内における行為の制限」です。

古都保存法第8条第1項の規定が以下です。

(特別保存地区内における行為の制限)
第八条 
特別保存地区内においては、次の各号に掲げる行為は、府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの、非常災害のため必要な応急措置として行なう行為及び当該特別保存地区に関する都市計画が定められた際すでに着手している行為については、この限りでない。
一 建築物その他の工作物の新築、改築又は増築
二 宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
三 木竹の伐採
四 土石の類の採取
五 建築物その他の工作物の色彩の変更
六 屋外広告物の表示又は掲出
七 前各号に掲げるもののほか、歴史的風土の保存に影響を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの

古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法

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古都保存法が適用される地域と規定の内容

古都保存法では以下の10市町村が「古都」に指定されています。

  • 京都府京都市
  • 滋賀県大津市
  • 奈良県奈良市
  • 奈良県天理市
  • 奈良県橿原市
  • 奈良県桜井市
  • 奈良県生駒郡斑鳩町
  • 奈良県高市郡明日香村
  • 神奈川県鎌倉市
  • 神奈川県逗子市

これらの市町村で“歴史的風土保存区域”の指定や、“歴史的風土特別保存地区”を都市計画で定めたりして、古都の歴史的風土の保存を図っています。

歴史的風土保存区域及び歴史的風土特別保存地区での制限の内容

歴史的風土保存区域での制限の内容
歴史的風土保存区域に指定された区域では次のような行為に制限があり、事前に府県知事または政令指定都市の市長への届出が必要です。

  • 建築物その他の工作物の新築、改築又は増築
  • 宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
  • 木竹の伐採
  • 土石類の採取
  • 水面の埋め立て又は干拓
  • 屋外における土石、廃棄物、再生資源の堆積
歴史的風土特別保存地区での制限の内容
歴史的風土特別保存地区では次のような行為に制限があり、事前に府県知事または政令指定都市の市長の許可が必要です。

  • 建築物その他の工作物の新築、改築又は増築
  • 宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
  • 木竹の伐採
  • 土石類の採取
  • 建築物その他工作物の色彩の変更
  • 屋外広告物の表示又は掲出
  • 水面の埋立て又は干拓
  • 屋外における土石、廃棄物、再生資源の堆積

古都保存法ではこのような制限を規定していますが、売買契約においての重要事項説明では、売買対象物件が歴史的風土特別保存地区に存する場合は、以上の制限について説明することが必要です。

制限の具体的な内容や許可条件などは各市町村の担当部署で確認します。

古都保存法が成立した経緯

「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」が成立したのは昭和41年です。
昭和30年代から日本は高度成長期に突入し、全国的にも宅地開発を中心とした都市整備・開発が活発になりました。その影響は歴史的風土を残す京都や鎌倉にも及び、文化人や市民団体による“反対運動”が起こりはじめました。

鎌倉では鶴岡八幡宮背後の御谷開発に対する反対運動が、地元市民ばかりでなく全国へと広まり、京都の双ヶ岡や奈良の若草山の開発計画への反対運動が「古都保存連絡協議会」の設立へと至りました。

このような市民を中心とした活動が実を結び、議員立法によって「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」が成立したのです。

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