この法律による制限の内容は、規定している事業の完了から10年間なので、実際の不動産取引で制限を受ける物件はほとんど無いと思いますが、宅建業法によって重要事項説明の対象法令になっているので、解説します。
「近畿圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律」で、重要事項説明において説明すべき内容は第34条第1項です。
(造成工場敷地に関する権利の処分の制限)
第三十四条 第二十六条第二項の公告の日の翌日から起算して十年間は、造成工場敷地の所有権、地上権、質権、使用貸借による権利又は賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転については、国土交通省令で定めるところにより、当事者が施行者であつた者の長の承認を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに掲げる場合は、この限りでない。
一 相続その他の一般承継により当該権利が移転する場合
二 滞納処分、強制執行、担保権の実行としての競売(その例による競売を含む。)又は企業担保権の実行により当該権利が移転する場合
三 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律により当該造成工場敷地が収用され、又は使用される場合
近畿圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律最終更新:平成26年6月13日公布
近畿圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律による制限
「首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律」の近畿バージョンです。
首都圏はこちらです。
「近畿圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律」(略称:近畿圏等整備法)の目的は、近畿圏の建設と発展の為に、近郊整備地帯での市街地を整備し、都市開発区域を工業都市、住居都市その他の都市として発展させることを目的とすると規定しています。
この法律によって制限を受けるのは、都市計画において市街地開発事業等予定区域として指定された区域で、「工業団地造成事業」により造成された工場敷地が対象です。
地域としては近畿圏の近郊整備地帯及び都市開発区域であり、福井県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県が該当します。
制限の内容としては造成工場敷地の権利移転などは10年間制限を受けます。
近畿圏等整備法と近畿圏整備法の関係
首都圏整備法の制定が昭和31年でしたが、昭和38年に制定されたのが「近畿圏整備法」です。
近畿圏整備法にもとづいて昭和39年の「近畿圏等整備法」が制定され、首都圏と同様の「工業団地造成事業」が近畿でもスタートしました。
近畿圏の広域な地域を3つに区分して、土地利用規制、事業制度、税制上の特別措置などが講ぜられました。
- 既成市街地-東京都区部の人口が集中している区域
- 近郊整備地帯-既成市街地の近郊で計画的に市街地を整備する区域
- 都市開発区域-産業と人口の適正な配置を図る為、工業都市、住居都市等を発展させる区域
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