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電線が真上を通っている物件の売買契約の注意点

売却を依頼された不動産、査定の為の現地調査に出向くと、物件の頭上には送電線が横切っています。物件の価格にも影響がありますが、売買契約時の重要事項説明では外せないポイントです。高圧送電線に関する説明不足が原因で、紛争になった事例もあります。
不動産の売却で気を付けたい送電線の調査と、建築制限の内容。

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高圧線とは何か?

送電線とは文字通り電力を送る設備ですが、電圧によって「送電」「配電」の2種類があります。

  1. 発電所から変電所まで電力を送ることを送電
  2. 変電所から需要家まで電力を送ることを配電

つまり電力を送ることを総称して“送配電”といいます。

発電所で作る電力の電圧は数千ボルト~2万ボルトですが、送電する時には送電ロスを少なくするために、27万5千ボルト~50万ボルトの超高圧に変圧して送り出されます。

超高圧の電力は、超高圧変電所で15万4000ボルトまで変圧して、一次変電所に送られそこで6万6000ボルトまで下げます。
この過程で大規模需要家には6万6000ボルト~15万4000ボルトの電力が送られ、残りは配電変電所に送られて6600ボルトに変電され、大規模なビルなどに配電されます。

私たちが住宅街で日常見ている配電線は6600ボルトの電力であり、電柱にあるトランスで100ボルトや200ボルトに変圧されて家庭に送られています。

不動産売買で係わる電線のほとんどは6600ボルトや200ボルト・100ボルトの電圧のものになっています。200ボルト・100ボルトを低圧線と呼び、それ以外の配電線を高圧線(600ボルト超)と呼びます。そして7000ボルト超を特別高圧線と呼びます。

街中にある配電用の電線は6600ボルトですが、これが正式には“高圧線”で、稀に出くわす鉄塔+電線という特徴的な外観をしている、いわゆる“高圧線”・・・これが“特別高圧線”です。

特別高圧線は17万ボルトを境に規制が変わる

17万ボルト以上の特別高圧線と17万ボルト未満とでは大きく規制の内容が変わります。

  • 17万ボルト以上では真下に建築は出来ない(垂線下水平距離範囲を含め)
  • 17万ボルト未満だと離隔距離をキープすると建築は可能
  • 17万ボルト未満でも電力会社によっては建築ができないケースもある

離隔距離は電圧によって変わるので、送配電線による建築規制を受ける可能性がある場合は、必ず電力会社に連絡して規制内容を確認しなければなりません。

6600ボルトの配電線や100ボルト・200ボルトの低圧線も離隔距離が決められており、敷地上空に配電線が無い場合でも、離隔距離の範囲内に配電線があると規制を受けます。

離隔距離

送配電架線と建築規制

送配電線下の敷地には、上に書いたような建築規制があるのですが、実は建築をする側に規制を設けているわけではなく、電線の架線に関する技術基準(電気設備技術基準)の第71条【低高圧架空電線と建造物との接近】に離隔距離に関する基準が書かれており、建造物がある場合の架線の位置などについて定めており、離隔距離などは電力会社側に設けられている規制です。

ところが、空地の場合には建造物が無いのでこの基準を適用できません。そこで、土地所有者と電力会社との間で「地役権設定契約」や「架設送電線路に関する契約」などを締結することによって、土地所有者に対して離隔距離を遵守するなどの建築規制を課しているわけです。

規制を受ける側が土地を提供してもらう土地所有者に対し規制をかけるわけですから、規制を受ける程度に応じて土地使用料を電力会社が負担しています。

この土地使用料は一括で契約時に支払うケースもあれば、使用する期間中、継続的に支払われるケースもありますが、一括払いの場合は、売却した場合、新しい所有者には何の恩恵も無いので、土地代金を考慮して相場より下がるのが一般的です。

送配電架線による建築規制については、敷地内に電線が無い場合も規制を受ける場合があります。
そのケースが下の図です。

離隔距離

敷地外にある電線の離隔距離範囲が敷地にかかる場合も規制を受けます。

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