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空き家を民泊に活用するメリットとデメリットを賃貸と比較してみる

2018年1月から施行された「住宅宿泊事業法」。民泊届け件数が1万3千件を超えていますが(2019年2月15日)、空き家を民泊に活用するメリットはあるのか、賃貸と異なりどのようなリスクがあるのか、空き家活用の検討に欠かせない「賃貸vs民泊」を掘り下げてみました。

民泊

日本の空き家は800万戸を超えています。今後も人口減に伴いますます空き家の増加がつづくと思われます。
賃貸住宅市場を見ると、新築アパート・新築賃貸住宅の供給はつづいており、築年数の古い物件ほど空室率が高くなっています。

  • 競争の激しい賃貸業界
  • 始まったばかりの民泊業界

空き家の有効活用はどちらにメリットがあるのでしょうか。

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事業者としての登録が必要な民泊

賃貸住宅の大家さんになる・・・つまり賃貸事業を行う場合には、特に許可や登録などの必要はありません。誰でも行うことができる事業が賃貸事業です。

アパートを建てて入居者を募集したり、親から相続を受けた戸建て住宅を賃貸物件にしたり、転勤になったので住んでいたマンションを貸すことにしたとか、投資物件として立地条件のよい賃貸マンションを1棟買いするとか、賃貸事業に係わる人も多いですし、そのような機会に巡り合うこともあります。

では“民泊”を検討してみようと思う場合のシチュエーションはどんなものでしょう。

  • 自宅だった戸建住宅やマンションに数年は住まないので有効利用したい
  • 賃貸借契約は居住権が生まれるから煩わしいので民泊の方がよい
  • 気軽に空き室を貸して日銭が入る民泊が楽

このようなことが考えられますが、賃貸よりも“気軽・手軽”というイメージが民泊にはあります。
ところが、賃貸事業は誰でも出来るが民泊は“届出”が必要になります

届出は都道府県知事に対して行います。

届出をすると“住宅宿泊事業者”としての義務を負うことになります。

  • 宿泊者の衛生の確保~定期的な清掃など衛生を保つ為の措置を行う
  • 宿泊者の安全の確保~非常用照明器具の設置や避難経路を表示する措置を行う
  • 外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保~設備の使用方法の案内を外国語で表示するなどを行う
  • 宿泊者名簿の備付け等
  • 苦情等への対応

これらのことをきちんと出来ないと、最悪、業務停止命令を受けることになります。

専門業者に管理を委託しなければならない民泊

部屋数のたくさんある戸建て住宅などの使って無い部屋を貸すとか、二世帯住宅の一世帯分を貸すなど、家主が居住しながら物件を民泊する場合以外、つまり、家主が居住していない住宅を民泊に使う場合には、専門業者に管理を委託しなければなりません。

専門業者は“住宅宿泊管理業者”として国土交通大臣に登録をした業者になります。

住宅宿泊管理業者は宿泊者の衛生などを確保するのに必要な措置を行うことが義務付けされ、住宅宿泊事業者が行うことになっている義務を代わって行うことになります。

家主が「自分でできる」と言っても、居住していない場合は管理委託をしなければならず、費用がかかります。

家主や管理業者の義務については「住宅宿泊事業法案」を参照して下さい。

近隣や地域住民とのトラブル防止が最大の問題点

ここまで見てくると、賃貸事業よりもずいぶん面倒な感じがします。
特に近隣住民などからの「苦情等への対応」です。

管理業者任せに出来ないこともあるでしょうし、苦情の内容によっては民泊事業の継続が危ぶまれるようなこともあるかもしれません。

賃貸事業をやっていてもやはり近隣とのトラブルはあるものです。

  • ごみの出し方や分別の仕方で近所からクレーム
  • 室内や駐車場からの騒音に近所からクレーム

こんなことが大家さんや管理会社に時々あるものです。
しかし、基本的に“入居者自身のマナー”の問題であって、大家さんの責任にはなりません。

ところが、民泊でのクレームは「宿泊者のマナー」の問題では無く、民泊事業者の管理責任になってしまいます。

「賃貸」と「民泊」どっちが事業として魅力的

遊んでいる住宅、使う予定の無い住宅を他人に貸す事業なのですが、「賃貸」と「民泊」とではすごく違うと感じます。

不特定多数の外国人が日替わりで宿泊する民泊と、勤務先や身内の連絡先など、いわば身元がはっきりと分かる借家人が長期で入居する賃貸とでは、かかえているリスクが全然違うことが、このようなことに表れているのだろうと思います。

さらに、民泊をビジネスとして考えた時に、最も魅力を失ってしまうのが「180日規制」です。
「180日規制」とは、宿泊に提供できる日数が最大で180日とされることです。
更にこの限度日数は自治体によってはもっと厳しくするところもあります。

一方賃貸事業には稼働日数に制限はもちろんありませんが、100%稼働ということも実はありません。
入居退去の際には必ず家賃収入の無い期間があり、稼働率はおよそ70~80%になります。

民泊はおよそ50%弱なので、稼働率の低い部分を1日の単価で補うことができると、180日規制もそれほど大きな障害ではないかもしれません。

競争の激しい賃貸市場で闘うか、工夫を凝らして民泊に活路を見出すか、どちらにしても簡単なことではないように思いますが、最近、民泊について改めて考えてみる機会がありました。

その結果感じたことは、180日規制はけっしてマイナス要素ではないということです。
365日の残り185日の使い方によって、魅力的な民泊を実現することも可能です。
研究と工夫が新しいビジネスを生む源です。

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