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地方都市の市街地に建つ築30年の住宅を売却するか持ち続けるか

人口が減り続けることが予測され、あと20年もすると毎年100万人が減る時代が到来し、2060年には現在の人口から4,000万人も減ると言われています。
人口が減ると空き家はもっと増え、都市の中では人が誰も住んでいない地域なども出現し、これまでの街の様相ががらりと変わる時代がやってきます。

そんな時代がこれから来ようとする中、現在賃貸中の築30年を経過する住宅を、今後も所有し続けるかあるいは売却してしまうか、将来の資産価値を考えた場合にどうしたらよいかという相談がありました。

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早く売らないと売ることも出来なくなってしまう負の財産

相談者はいくつかの計画を考えていました。

  • 現状のまま賃貸物件として活用する
  • 現在の住宅は延べ面積60坪と非常に大きいので、減築してメンテナンスコストを低減して賃貸物件として活用する
  • 将来売りづらくなる前に売却する

大きく分けると、所有し続ける売却するかのどちらかなのですが、“売却”という考え方にはこんな背景があります。

人口が減り空き家が増え、土地や不動産の需要が減少するので、将来ますます売りづらくなる。

このように考えるのは当然かもしれません。

不動産は負動産

こんな言葉がネット上でも見られるようになっています。
参照 》》 「不動産は負動産」の検索結果

売るか売らないかの判断は“負動産”になる可能性があるかどうかによって変わります。

コンパクトシティというコンセプトが都市を縮小させる

“コンパクトシティ”という言葉を時折り目にすることがあります。
都市の土地利用を市街地中心部に集中させて、郊外の土地利用を抑制する考え方です。

昭和43年に成立した“都市計画法(新法)”により、日本は無秩序に広がる都市開発を制限し、市街化区域と市街化調整区域に線引きを行い、人口増加に伴う都市圏の拡大を計画的に進めてきました。
具体的には市街化調整区域を抑制的に解除し、市街化区域に編入する面積をじわじわと増やしてきたわけです。

コンパクトシティはこれとは逆に、じわじわと市街化区域を市街化調整区域に変更していき、都市域を縮小させる方向に進んでいきます。

市街化調整区域に変更されるようになるのは、簡単なことではありませんが、行政コストを考えると必ず起こり得ることです。

市街化調整区域に変更される条件の一つが“空き家”の増加です。
ある地域に占める空き家率が顕著になると、市街地としての魅力は失われ、コンビニすらないという状態になります。すると、住みづらい地域からはますます人口が転出し、更に空き家が増加することになります。

そのような地域の住宅や宅地の売却は絶望的です。
まさに負動産になってしまうわけです。

コンパクトシティの中心部になる地域は安心できる

自分が所有している不動産、親から相続を受ける予定の不動産が、コンパクトシティの中心部に位置するかどうかを調べてみましょう。

調べると言っても簡単です。

  • 公共交通機関の最寄り駅徒歩圏
  • 自治体庁舎まで車で10分圏内
  • 幹線道路に面した商業施設まで徒歩圏

などのような“利便性”が高い地域は、人口が減り都市圏が縮小しても、市街地の中心部として存続する可能性が高いと言えるでしょう。また、全体として人口が減りますので人口密度は下がり、むしろ生活しやすい環境が保てる可能性も高くなり、人気の地方都市に生まれ変わることもあるかもしれません。

人口減=マイナス要因と捉えるのではなく、逆に都市の魅力を高める要因になることもあります。
50坪未満の敷地に建つ狭小な戸建よりも、100坪以上のゆったりとした敷地に建つ戸建ての方が魅力的です。
100坪といっても土地価格は平均的なサラリーマンの収入で充分購入できる価格帯であり、無理することなくゆとりのある生活を楽しめるかもしれません。

交通渋滞もあまり無く交通事故も少ない、安心して子育てできる利便性のある地方都市が、人口減少という社会的な変化によって生まれます。

相談された物件はそのような条件に該当する物件でした。
そんな可能性のある物件を慌てて売却する必要はないでしょう・・・というのが、今回の相談への答えでした。

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