ZEHビルダーの登録数は2017年現在、約6,000社あると言います。
この約6,000社という数字は、全国のビルダー数に近い数字と言え、ほぼすべてのビルダーがZEHビルダーとして登録したようです。
これから新築する住宅のほとんどがZEH住宅となるのか、あるいはZEH住宅へのリフォームが主流になるのか、まだ分かりませんが、ZEH住宅について疑問点をまとめてみました。
ZEH住宅を検討しようとする際には参考にして下さい。
ZEH住宅とはどんな住宅なのか
ZEH住宅の“Z”“E”“H”とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅・・・と定義されています。
- 高断熱化を図りエネルギー消費を減少させる
- 高性能な設備で効率的にエネルギーを使う
- エネルギーを創り出す設備を導入して、年間エネルギー消費量をゼロ以下にする
このような条件を満たした住宅をZEHと言います。つまり、家計の中で自宅で使うエネルギーにかかる費用がゼロになるという嬉しい住宅ですが、平成24年度から支援事業として始まったもので、まだまだ分からないところもあります。
以下に疑問に思うことについてQ&A型式でまとめてみました。
ZEH住宅を建てると補助金を受け取れるの?
ZEHは補助金を受けることが出来る支援事業が行われており、対象となる住宅には満たすべき要件が定められています。
その要件の中で最も大きなポイントとなるのが、ZEHビルダーとして登録された事業者が設計や施工を行う住宅であることです。
ZEHビルダー登録をしていない設計事務所や工務店に依頼する場合は、補助金の対象になりませんので、住宅の相談を始める際には、まず最初に、ZEHビルダー登録の確認をして下さい。
補助金の金額は平成29年度事業では、全国一律 75万円です。
平成28年度は125万円でしたので、来年度がすこし心配ですが、来年度の概算要求額からすると70万円となるようです。
ZEHビルダーならどこでも安心してZEHを建てることができるの?
ZEHビルダーに登録した事業者は全国で6,000社を超えています。ところが、この中で実際にZEH住宅を建てている事業者は少ないということです。
ZEH支援事業の窓口となっている「一般社団法人 環境共創イニシアチブ」のウェブサイトには、ビルダー一覧が掲載されており、ここで、前年度のZEH実績が公表されています。
ざっと見ていくと、実績0%とか“未”という事業者がズラッと並んでいます。
*“未”とは期限までに報告がされていないことを示します。
ということはとりあえず登録はしたけれど、EZHは建てたことが無いという事業者がかなりいるようです。
ZEH住宅を建てる時のコストアップはいくら?
ZEHにはこれまでの一般的な住宅に比べて、設置する設備や断熱性能を向上させるための工事費用が余分にかかります。
平均的なコストアップのデータというものはありませんが、以前、「一般社団法人 環境共創イニシアチブ」の職員の方が新聞紙上で「250万円~300万円かけて」といった表現をしています。
太陽光発電の設備費を考えると、250万円~300万円という金額は妥当なところではないかと思います。
では、コストアップしたこの金額を、何年で元が取れるかというと、年間の光熱費は30万円~35万円ぐらいと考えられるので、およそ10年弱で元が取れる計算になります。
10年も経つと新築時の設備のメンテナンスが必要になるので、元が取れた頃にはある程度のメンテナンス費用を見込み必要が出てくるので、覚えておいた方がよいでしょう。
もう少し様子を見たいZEH
国は「2020年までに標準的な新築住宅でZEHが実現」出来ることを目差しているわけですが、その為にはビルダーが新築する住宅の50%がZEHであることを必要としています。
その為の施策を今後も2018年度、2019年度と行っていきますが、その間に太陽光発電の買取単価が一般家庭の電気料金並みに下がります。
余剰電力の売電を含んだ収益を織り込むZEHにとって、買取価格の低下は住宅取得者のインセンティブを下げることにもなりかねません。
ZEHは単一の設備の性能云々で決まる話でなく、エネルギー消費量・エネルギー創出量・設備投資額の3つの要素のバランスで考えなければなりません。
エネルギー消費量の少ない高性能な設備が開発されると、エネルギー消費量は減ります。すると、必要なエネルギー創出量も減り、創電設備容量は小さいもので間に合います。すると、初期投資額は減少します。
このようないい循環が生まれると、ZEHはかなり身近なものになっていきます。
そのようなことを可能にする新商品などの開発が、おそらく、この2年間で大規模に行われるように思いますので、2年間は様子をみて、ZEHを建てるなら2020年に焦点を合わせるのもいいのではと思います。