マイホームの夢がもうじきスタートする、そろそろ契約だ。
ところで、値引きしてくれるのかな?
これって、誰でも思うことです、口に出して言うか言わないかですが・・・・?
ハウスメーカーは値引きをするのか?これについては当然ですが、データは公表されていません。
車買う時だって値引きがあるのだから、○千万という買い物だもの値引きするのが当然という方もいらっしゃると思います。
さて、果たしてどうなのでしょう?
結論を先に言います。
値引きすることもある!これが結論です。
では、どういう時に値引きするのか?
ハウスメーカーの住宅価格の実態
住宅に限らず全ての商品の価格は次の式によって決定されます。
原価+利益=価格 です。
では、住宅の場合の価格の実態について話を進めます。
一般的には上の式の利益を「粗利益」と呼んでいます。
粗利益÷価格=粗利益率と言います。
粗利益の部分は更に次のようになります。
粗利益-現場経費=1棟あたり現場利益
1棟あたり現場利益を年間合計したものが、現場利益合計
[現場利益合計]-[年間営業経費]-[年間一般管理費]=年間経常利益
だんだん分かりづらくなって来ましたが、もう少しですから我慢してください。
会社の概要を次のように仮定します。
- 年間売上 20億円
- 社員数 30名
- 年間経常利益目標 1億円(経常利益率5%)
- 年間一般管理費 2億円
- 年間営業経費 1億円
現場利益合計は 1億円+2億円+1億円=4億円となります。
現場経費は年間売上の5%と仮定すると、1億円です。
以上から年間粗利益合計が算出されます、5億円ですね。
この場合の粗利益率は 5億円÷20億円=25%となります
粗利益率25%は、住宅産業では最低限の数字です。25%を割り込むと会社経営が難しくなります。
何故でしょうか?
現場経費は現場でかかる工事保険だとか、工事担当者の給与・交通費だとかに使われます。
営業経費は、モデルハウスや見学会の広告費、営業マンの給与・交通費に使われます。
一般管理費は、事務管理部門の人件費や事務所の経費、社員の福利厚生費(年金・保険)などに使われます。
25%を割り込むと、経費を減らすわけには行きませんので経常利益が減ります。
経常利益の約4割は税金となりますので、年間の利益として残るのは6,000万円を下回ります。
この会社は、来年新しいモデルハウス兼建売住宅を建てようと計画していました。その計画は土地代1,500万円+建物原価1,500万円=3,000万円かかります。
でも、余剰金の利益が6,000万円を割り込みました。余剰資金が少なく心配ですね。ではどうしましょうか、銀行から借金しましょうか?・・・・・もう少し余剰金があれば、借金しなくて済むのですが・・・・・
ハウスメーカーの粗利は35%が常識
一般的にハウスメーカーは、粗利益を35%前後に設定しています。35%粗利益が無いと次の事業展開をスムースに出来ない事情がこの辺にあります。
住宅展示場には、各社のモデルハウスが建っています。住宅展示場の土地は、各社の所有ではありません、借りているのです。
借地代と年間広告宣伝負担金を合わせて、「出展料」を支払っています。どのくらい払っているのでしょうか?
地方の中核都市で月100万円~150万円。首都圏は200万円~300万円になります。
1棟のモデルハウスを出展するだけで年間1,200万円~3,600万円経費がかかります。3~5ヵ所のモデルハウスを出展すると1億円年間かかります。
何となく分かりますでしょうか?35%の粗利益設定の必要性が?
ですが、私はこう思っています。
モデルハウスを建てたり、住宅展示場に出展する事って、本当は無駄な費用じゃないの?と。
35%も粗利益が無くても住宅会社を経営する方法ってあるんじゃないの?
値引き交渉の方法
値引きの話をする場合には、以上に書いたことを念頭に入れて下さい。
値引きをする事は、その会社の首を絞めることに近い事です。
限られた予算の中ですから、「どうしても予算上あと200万円が足りない」といった場合、営業マンといろいろ相談して下さい。
設計内容もある程度減額する方法を検討してみて下さい。それでもどうしても足りない場合、5%ぐらいだったら何とかなるかもしれません。あくまでも「一緒に金額を下げる努力をする」という前提で。
決して「値引きして当然」とは思わないで下さい。
ただし、始めから値引きを前提に価格を設定している会社の場合は別ですよ。