新築住宅を建てる場合に、誰もが一度は悩む問題です。
ハウスメーカーと工務店、どっちがよいのか?
ハウスメーカー、ハウスビルダー、工務店・・・住宅を建てる会社にはいくつかの呼び方があります。
厳密な定義は無いのですが、全国展開で事業を行っている会社や、年間着工棟数が500棟を超える規模の会社をハウスメーカーと、商圏が限定された地域で年間100棟前後から500棟近くの着工棟数実績のある会社をハウスビルダーと、それ以外の年間棟数が少ない会社を工務店と、ここではこのように便宜上区分したいと思います。
ハウスメーカーの支持率は
ハウスメーカーとえば大きな会社ですので、宣伝広告費の予算も大きな額になり、全国的にも有名会社ばかりです。
国内で建てられる住宅のほとんどはハウスメーカーで建てられているように思いますが、実はハウスメーカーのシェアは意外と低いのです。
正確なデータは残念ながらありませんが、おおよそ4割近くがハウスメーカーではないかと思われます。そして残りの6割以上が、地場ではある程度の業績のあるハウスビルダーと工務店が占めているようです。
つまり、ハウスメーカーは派手な宣伝で目立ちますが、半分以下のシェアでしかないということです。
家を建てるならハウスメーカーが安心!というイメージがありましたが、地元の工務店やハウスビルダーをしっかりと評価して支持されている姿が浮かび上がってきます。
ハウスメーカーと工務店の比較方法
ハウスメーカーと工務店又は地場のハウスビルダーの違いの最大のものは価格です。
ハウスメーカーは高く地場の工務店は価格が安いというのが一般的な評価です。
タマホームは区分としてはハウスメーカーになりますので、価格面では特殊な存在です。
アイフルホームも同じように捉えられますが、アイフルホームはフランチャイズシステムですので、実態は地場の工務店がそれぞれ独立した経営を行っています。したがって、アイフルホームは地場のハウスビルダーと位置づけられます。
さて、ハウスメーカーと地場の工務店やハウスビルダーの違いと、業者の選択方法について、すこし長くなりますが最後まで読んで下さい。
工法は比較検討できるが仕様は関係ない
[!]ハウスメーカーとその他のハウスビルダーや工務店を比較する場合、検討する大きなポイントは工法です。
断熱性や気密性などといった住宅に必要な基本性能は、住宅会社によって差が出ることは無くなってきました。
免震工法や制振工法などの地震対策や、耐久性や可変性など、長寿命住宅としての要素がどこまで充実しているかが、今後は大切なポイントのように思います。
キッチンやバスルームなどの住宅設備に関しては、標準仕様かオプションかによって価格の割安感が異なりますが、どこの会社でも望み通りの仕様にすることは可能ですので、各社を比較検討する場合には、仕様の違いはあまり関係が無いと思っています。
そこでどんなことを比較検討するのがよいのでしょう?
- 巨大地震が予想されている地域では免震や制振工法が採用できるか
- 間取りの変更や設備の交換がしやすくなっているか
- 維持メンテナンスのサイクルが長く少ない費用で可能か
- 構造躯体の耐久性を長く保てる仕組みになっているか
以上のようなことが挙げられますが、性能・機能が高いほど価格面では高くなることは覚悟しなければなりません。
要は、どのようなポイントを優先させるかということをまず考えてほしいわけです。
長寿命な住まいを最大の優先事項とするなら、工事躯体が100年~200年の期間、劣化したり腐朽したりしないものでなければなりません。
他にも構造躯体は200年もったとしても、その間に、設備関係のものは数回交換が必要となります。いざ、暖房設備を交換しようとしたら、住宅のあちこちを解体しなければならないというのでは、長寿命住宅の意味がありません。
そこでこれからの住宅を考える上で大事なキーワードがあります。
それは、変えられると、変わらないです。
この二つのキーワードが示す大事な機能を、最も持っていそうな会社の工法を選択すべきではないかと思います。
ハウスメーカーは全国区だから・・・
大手ハウスメーカーの営業網は全国に張り巡らされています。地域によって断熱性能には違いがありますが、その他の性能や機能にはあまり違いがありません。
だからこそ、全国どこで建てても均一の性能を維持でき、スタンダードな住宅を供しているわけです。
ところが、日本は南北に長い国土であり、四季による気候環境はすごく変化に富んでいます。
本来変化してはいけない構造躯体は、自然環境の影響をすごく受けるものです。
高温多湿の地域と寒冷地域とでは、構造躯体が受ける熱・湿気による影響はかなり異なります。
地域によって長寿命の構造躯体のあり方は本来異なるものでなければなりません。
均一の性能を持った全国展開される住宅商品と、地域の特性を分析しその地域の環境に合致した住宅をつくろうとする、地場のハウスビルダーや工務店が提供する商品とでは、この辺に大きな違いがあると思います。
ハウスメーカーの住宅が地場の工務店より寿命が短い
という意味ではありませんが、地場の工務店・ビルダーの中には、非常にこの地域性を研究して、その地域にマッチした住宅を開発しているケースがあるということです。
住宅も地産地消を実践しよう
食品業界では地元で採れたものを地元で消費する、地産地消という考え方が定着してきています。
最近では、エネルギー分野でもこの言葉が使われています。住宅業界でも以前から、木造住宅の骨組みとなる木材を地元で育てようと取り組む地域があり、その運動は全国的に広がりつつあります。
材料だけではなく、住宅の工法を、その地域の特性に合ったものに育てていくことがこれから、日本の住宅業界にとって必要不可欠なことだと思います。
その為にも、地元で活躍している工務店・ビルダーの情報をできるだけ集めて、真剣に住宅に取り組んでいる優良な企業を発掘することが大事なことだと思います。