日経BPコンサルティングによるインターネット調査で、マンション購入者と戸建て購入者が最も困っていることに大きな違いがあることが分かりました。
マンション購入者が最も困っていることは“間取り”だったのに対し、戸建購入者が最も困っていることは“メンテナンス”でした。
マンション・戸建、いずれも新築・中古ともにこのような結果でした。
この結果から、戸建住宅を対象としたビジネスモデルを考えることができます。
マンションと戸建て住宅のメンテナンスの違い
ビジネスモデルを示す前にまず、メンテナンスに関してマンションと戸建てでは意識の違いがあることが分かります。
この違いが何故生まれるのかを分析してみたいと思います。
マンションのメンテナンスに関する特性
メンテナンスは大きく分けると“外部”と“内部”そして“設備”に分類できます。
そしてマンションの場合は専有部分と共有部分とでは、メンテナンスを行う責任の区分があります。
住戸内の内装や設備は区分所有者の責任で行いますが、外部のメンテナンスや設備の共有部分は管理組合が行います。その為に管理組合に“修繕積立金”を積み立てることによって計画的にメンテナンスを行います。
管理組合が行う部分以外の専有部分のメンテナンスは個人の責任ですが、給湯・冷暖房設備以外はメンテナンスを多少きちんと行っていなくても、生活上支障が出るようなものはありません。
費用面やメンテナンスの時期など、専門的な知識が必要な外部や共有設備のメンテナンスは、管理組合が専門業者などと検討して行っていくので、区分所有者ひとりひとりが考えることの無いものです。
したがって、マンションの場合はメンテナンスについて主体的に検討する必要性が無いので、関心があまり無かったり、困ったこととして認識されることは無いというのが、マンションの特性です。
戸建住宅のメンテナンスに関する特性
戸建住宅はマンションのように、「誰かがメンテナンスの計画を立ててくれる」ということはありません。
すべて自分が計画を立て、費用を捻出しマイホームを維持していかなければなりません。
マンションは他力本願、戸建は自力本願ということが言えます。
戸建住宅はお隣の住宅とは、構造方式や使っている材料が違うし、建てた業者も違うし建てた時期も異なるなど、お隣でやっているメンテナンス方法が参考になりません。
自分の住宅にマッチしたメンテナンス方法を作り上げなければならないわけです。
戸建て住宅のメンテナンスを他力本願で可能にする方法
戸建住宅を対象としたビジネスモデルとは、戸建て住宅のメンテナンスを他力本願で可能にすることに着目した方法です。
- 対象物件だけにマッチするメンテナンス計画を立案
- メンテナンス時期が来るとお知らせする
- メンテナンスを行う時点で最も適正な工事費で行う業者を紹介する
- 工事が適正に行われているかのチェックを行う
このような内容ですが、立場としては工事監理業務になるので、建築士事務所の業務になります。
業務報酬はメンテナンス計画立案時に一定額。
その後、メンテナンス工事が行われ、工事チェックを行い完了した時点で、メンテナンス工事内容に応じて取決めした報酬を支払うことにします。
メンテナンス計画はおおむね20年間の計画を立案し、10年目で見直しをするような方法が望ましいと思います。
このビジネスモデルの特徴はメンテナンス工事を行う業者をあらかじめ決めることが無く、工事を行う時点で最適な業者を選べるという点です。
例えば、ハウスメーカーが建てた住宅のメンテナンスをハウスメーカーに引き続きやってもらうことを考えると、最大の不満点は工事費が割高になることです。
『信頼感はあっても工事が高い』というのが、ハウスメーカーにメンテナンスを依頼している人の多くの感想のようです。
工事を行う時点でプロに工事費の見積比較をしてもらい、納得のいく業者に工事を依頼することができます。
メンテナンス工事に関する長期の計画があらかじめ出来ているので、ライフスタイルの変化に合わせたリフォーム工事を織り交ぜるなんてこともかなり計画的に出来ます。
こんなサービスを始める建築士事務所などが出てくると思います。