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不動産を売却した時の利益を「譲渡所得」と言います。
譲渡所得は「分離課税」のため、給与所得などとは別に申告しなければなりません。
所得を計算して損益がでる場合は申告の必要はありませんが、他の所得との損益通算が可能な場合は申告が必要です。また所得控除ができるさまざまな制度があり、これらの控除制度を適用する場合も申告が必要です。
譲渡所得の計算方法
不動産を譲渡した場合の損益は次のように計算します。
譲渡損益=譲渡により得た収入金額-(取得費+譲渡費用)
上の式により利益がでる場合は所得の計算をしますが、損失がでる場合は所得がありませんので以降の計算は不要です。
所得がでる場合は利益から特別控除額を差し引いて所得を求めます。計算式は次のようになります。
譲渡所得=譲渡により得た収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
特別控除額は現在(令和6年1月時点)以下の8つの方法があります。
控除される譲渡の種類 | 控除額 |
収用などによる土地建物の譲渡 | 5,000万円 |
マイホームの譲渡 | 3,000万円 |
被相続人が居住していた空き家の譲渡 | 3,000万円 |
特定土地区画整理事業などによる土地などの譲渡 | 2,000万円 |
特定住宅地造成事業などにより土地などの譲渡 | 1,500万円 |
平成21年及び平成22年に取得した土地などの譲渡 | 1,000万円 |
農地保有の合理化等のための農地などの譲渡 | 800万円 |
低未利用土地などの譲渡 | 100万円 |
さらにマイホームを譲渡した場合には長期譲渡所得の軽減税率もあり、このことについては次章で説明します。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税の計算はまず譲渡所得を計算しなければなりません。
譲渡所得を求めるには「取得費」と「譲渡費用」をまず計算する必要があります。
取得費の計算方法
取得費とは売却した不動産を取得した時点の価額ですが、土地は取得時の価額が取得費となりますが、建物については減価償却費を計算しその相当分を取得時の価額から差し引かなければなりません。
式にすると次のようになります。
建物の取得費=取得時の建物価額-経過年数に基づく減価償却費相当額
減価償却は建物の構造により償却年数が異なり、次のように1年間の償却率が定められています(用途は住宅の場合)。
構造 | 法定償却年数 | 償却率 |
木造 | 22年 | 0.046 |
鉄骨造(4mm超) | 34年 | 0.030 |
鉄骨造(3mm超~4mm以下) | 27年 | 0.038 |
鉄骨造(3mm以下) | 19年 | 0.053 |
RC造 | 47年 | 0.022 |
ただし自己居住用として使用していた住宅は、減価償却期間が1.5倍となり償却率は次のようになります。
構造 | 法定償却年数 | 償却率 |
木造 | 33年 | 0.031 |
鉄骨造(4mm超) | 51年 | 0.020 |
鉄骨造(3mm超~4mm以下) | 40年 | 0.025 |
鉄骨造(3mm以下) | 28年 | 0.036 |
RC造 | 70年 | 0.015 |
たとえば取得時の木造住宅(自己居住用)の価額が2,000万円だった場合、15年経過して売却する時の取得費は次のように計算します。
建物取得費=2,000万円-2,000万円×0.031×15年=1,070万円
譲渡費用の計算方法
譲渡費用とは売却するために支出した費用であり、次のような費用が該当します。
- 仲介手数料
仲介した不動産会社へ支払った手数料 - 解体工事費
建物の全部や一部など売却するために行った解体工事費 - 測量代
土地の境界が不明などの理由により行った測量代 - 契約印紙代
売買契約書に貼付する印紙の売主負担分
所有者住所が登記上と異なるために行った住所変更登記は譲渡費用に該当しないので、気をつけましょう。また抵当権抹消登記も同様、売却のためではないので譲渡費用になりません。
長期譲渡と短期譲渡
売却する不動産の所有期間により所得税の税率が異なります。
・長期譲渡とは所有期間が5年を超える不動産の譲渡
・短期譲渡とは所有期間が5年以下の不動産の譲渡
所有期間とは売却した年の1月1日時点で5年超か5年以下かを判断します。
所有期間の違いにより変わる税率は以下のとおりです。
種類 | 所得税率 | 住民税率 |
長期譲渡 | 15% | 5% |
短期譲渡 | 30% | 9% |
居住用財産の軽減税率
居住用財産つまりマイホームを売却した場合は特別控除3,000万円の適用ができますが、3,000万円の控除を行っても課税対象所得がある場合には、軽減税率の適用ができます。
ただし所有期間が5年超の長期譲渡の場合に限りますが、課税対象所得が6,000万円までは税率が10%に軽減されます。
3,000万円の特別控除と同様、さまざまな要件に適応していることが条件ですが、主な要件として「住まなくなってから3年が経過する年の12月31日までに売却する」ことに注意してください。
他の要件については国税庁の「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」 を参考にしてください。
確定申告
不動産を売却し譲渡損益を計算し、利益が生じる場合は確定申告が必要です。
譲渡損益の計算によりマイナスとなった場合は、所得は0になるので確定申告の必要はありません。
計算の結果、利益があっても「特別控除」により所得が0になる場合には、確定申告が必要です。所得が0だから申告は必要ないと判断しないよう注意しましょう。
確定申告の時期は売却した翌年の2月16日~3月15日の期間ですが、期間前であっても提出することは可能です。またe-Taxは1月5日から申告可能になっています。
不動産の売却は翌年に確定申告を済ませてすべて完了となります。