安心できる売買契約と決済・引渡しの方法

基礎知識

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売買価格が決定するといよいよ売買契約の締結です。そして準備ができると引渡しを行いますので、その時点で決済(売買代金の支払い)を行います。

買主さんの資金計画によっては売買契約と決済・引渡しを同時に行うケースもありますが、ここでは買主さんが融資を利用するケースを想定した解説になります。

売買契約の準備

不動産の売買契約は不動産会社の仲介により行うのが一般的です。

不動産会社は宅地建物取引業法にもとづき、一連の正しい手順にしたがい売買契約をすすめていきます。

  1. 契約書類のとりまとめ
  2. 重要事項の説明
  3. 売買契約の締結
  4. 手付金の授受
  5. 融資の本審査申込み
  6. 決済と引渡しの準備
  7. 決済・引渡し
  8. 所有権移転登記

売買契約から決済・引渡しまでの手順は以上のようになります。

契約に必要な書類は以下のとおりです。

  • 重要事項説明書
  • 重要事項説明添付資料
  • 売買契約書
  • 物件状況報告書
  • 付帯設備表

1~3の書類は不動産会社が作成し、4~5の書類は売主さんが主体となって作成しますが、不動産会社がフォローします。

売買契約の締結

売買契約は仲介する不動産会社に、売主さん買主さんが集まり契約手続きを行うのがオーソドックスな方法ですが、契約の場所に決まりはありません。

また売主さん買主さんが顔を合わせず行う方法もあり、ケースバイケースと言ってよいでしょう。

売買契約で重要なことは、買主さんが契約する対象となっている不動産についての「重要事項」を正確に理解した上で契約することです。

そのため宅地建物取引士が重要事項説明書にもとづき買主さんに説明を行います。説明するタイミングは契約締結の前であり、契約日当日か事前に都合のよい時に行います。

現在はITを活用して、買主さんと宅地建物取引士が直接面談せず行う方法もあります。

重要事項説明は買主さん本人または買主さんが指定した代理人に対して行いますが、他人がなりすますことのないよう「本人確認」を厳密に行うことが重要です。

また契約書に記名押印する売主さん買主さんも、なりすましを防ぐための「本人確認」は厳密に行います。

また契約書を書面ではなく電子契約で行う場合には、本人確認と契約内容を記した電子データの改ざん防止を電子的な処理により行うようシステムが組まれています。

引渡しの準備

売買契約を締結すると売主さんは引越しの準備をしますが、引渡しまでに行う準備は次のようなことです。

境界石を掘り出したり、無い場合には測量会社に依頼する
抵当権が付いている場合には、抵当権抹消の手続き準備をする
設備や配管などに不具合がないか調査する

などの準備をするのですが、それらは売主さんと相談しながら媒介契約をした不動産会社が行います。

一方、買主さんは売買契約を締結するとすみやかに金融機関に対し融資の本申込をします。

売買契約前には「事前審査」を行っていますが、契約後に「本審査」を行い承認されないと融資を受けることができません。

稀に事前審査が承認されても本審査で承認されないケースもあり、その場合には契約が白紙解除される「融資特約条項」を付けて売買契約するのが一般的です。

本審査が承認になると買主さんは金融機関において「金銭消費貸借契約」を行い、融資を受けられるよう準備をします。

決済・引渡しの方法

売買代金の決済、物件の引き渡し、所有権移転登記申請、これらの引渡しにかかわる手続きは、決済日に同時に行うのが一般的です。

決済の場所は、買主さんが融資を受ける金融機関が望ましく、売買代金の授受は売主さんの預金口座が同じ金融機関にあればもっとも好都合になります。

引渡しに必要な書類を司法書士が確認し、すべてそろっていると金融機関は融資を実行し、買主さんの口座に入金されます。

買主さんは口座から売買代金を引き出すよう「払戻請求書」に必要金額を記入し、通帳といっしょに金融機関担当者に預けますが、この時売主さんの預金通帳と受取る売買代金の金額を記入した入金票を同時に預けます。

すると、売買代金は買主さんの口座から売主さんの口座に移動させることができます。

売主さんの口座が買主さんの金融機関にない場合は、買主さんは「振込み」により売買代金を売主さんの口座に移動させるので、着金の確認に時間がかかることがあります。

上記のような方法がとれない場合は、買主さんが金融機関発行の「小切手」により、売主さんに売買代金を支払う方法がとられます。

所有権移転登記

買主さんに不動産を引渡す手続きは「所有権移転登記」により完了します。登記をしなければ買主さんは所有権を第三者に対し主張できないため、決済日当日のうちに登記申請を行います。

登記申請は司法書士に依頼するのが一般的であり、決済・引渡しの時に必ず司法書士は同席します。

司法書士が所有権移転登記に必要な書類を確認し、間違いなく登記ができると判断するまで売買代金の授受は行われません。

所有権移転登記申請の時点で、売主さんの抵当権抹消や住所変更などの登記が必要であれば同時に申請します。また買主さんが融資を受けるために必要な抵当権設定登記も、同日、司法書士が登記申請します。

不動産の売買はこのように、専門家である宅地建物取引士と司法書士が関わることにより、間違いのない公正な取引きができるよう仕組みができています。

信頼できる宅地建物取引士に依頼するためには、不動産売買に詳しい仲介会社を見つけることが重要であり、そのためには「不動産一括査定サイト」を活用することが大切です。

不動産の売買が無事完了すると、売主さんは翌年の確定申告の時期に「譲渡所得」の申告が必要です。次のページ「不動産売却時の譲渡所得申告と特別控除」を参考にしてください。