売出価格と成約価格の違い|売買価格が決まるまで

基礎知識

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不動産を売却するには不動産会社が媒介契約に基づいた手続きののち、物件情報をインターネットなどを活用し発信します。

発信する情報の中でもっとも重要なものが「販売価格」です。一般には売出価格とも言われますが、不動産査定の結果に基づき売主さんと仲介する不動産会社が協議検討し決めた価格です。

しかし売出価格で必ずしも売買になるわけではなく、最終的に売主さんと買主さんが合意する「成約価格」が売買価格になります。

この記事では売出価格が成約価格に変わっていく過程についてお伝えします。

値交渉の開始は購入申込みから

内覧したあとに購入を希望する方から「購入申込書」が提出されますが、申込書の購入希望価格または買受価格といった欄には「購入価格」が記載されています。

購入価格が売出価格と一致することは少なく、ほとんどの場合は売出価格よりも低い金額が記載されています。つまり購入希望者は「購入価格に記載した金額なら買いますが、売出価格では買いません。」と意思表示しているわけです。

売主さんが購入金額で納得するならば引きつづきそのほかの取引(契約)条件を調整していきますが、購入金額では売りたくない場合には、仲介する不動産会社が購入希望者と交渉を始めます。

購入希望者が別の不動産会社経由で申込みした場合は、不動産会社同士で売買価格の交渉を行っていきます。

仲介会社は破談をできるだけ避ける

不動産購入に関する申込みは基本的に先着順となります。

たとえば、Aさんから申込みがあり翌日Bさんから申込みがあった場合、Aさんからの申込みに対する結論がでるまでBさんとの交渉は行いません。

仮にAさんよりもBさんのほうが購入希望額が高くても、Aさんを優先して交渉をします。ただし、この場合Aさんとの話が破談になったとしても、2番手のBさんがいるのでAさんとの交渉は強気ですることができます。

ところがAさんからの申込みのあとは、基本的に販売中の物件は「商談中」となるため、2番手の希望者が現れるかどうかは予想ができません。そのため、不動産会社としてはできるだけAさんとの交渉を、最終的にうまくまとめたいと思いすすめるのが一般的です。

着地点を見つける交渉

売買価格の交渉は売主さんと購入希望者(買主さん)、双方が納得して折り合える価格を見つけるのですが、仲介する不動産会社の役割が非常に重要なものになります。

不動産会社の仲介は売主側と買主側それぞれ不動産会社がいるケースと、売主側の不動産会社が購入希望者から直接申込みを受けたことにより、買主側の仲介不動産会社になるいわゆる「両手」のケースがあります。

「両手」とは、両方から手数料を受取ることができることを言い、片方からだけの手数料の場合は「片手」と言います。

片手の場合は不動産会社同士で交渉を行うので、互いにあまり遠慮することなく価格交渉ができますが、両手の場合はたいへん気をつかう交渉になります。

売主さんには最終的に納得し満足してもらわなければなりませんし、買主さんにも同じく満足していただける「着地点」を見つけなければなりません。

このような精神的に追い詰められた気持ちを感じながら、仲介という仕事にまい進するのが不動産会社の役割なのです。

成約価格と査定価格

不動産査定の価格は「〇〇〇万円」と特定の価格を表示する場合と、「〇〇〇万円~〇〇〇万円」のように範囲を表示する場合があります。

購入希望者との交渉の結果成約価格が決まりますが、査定価格よりも下回ることがあります。査定価格に幅がある場合は、その範囲内に入ることもあれば範囲から外れることもあります。

成約価格と査定価格との間に大きな乖離があると、売主さんにとっては「なんのための査定なの? 」と疑問に思うかもしれません。

不動産査定は「取引事例比較法」や「積算法」などにもとづき行います。査定する物件がある地域のデータや建物の築年数・現況などにより、査定する時点での適正価格を算出するのですが、実際には競合物件の価格や購入検討者の資金計画により査定価格どおりとはならないケースも多いものです。

査定価格は売主さんが決定する「売出価格」の指標ともなるものであり、できるだけその時点での市場動向を反映した正確なものであることが重要です。

そのため査定の依頼は複数の会社に依頼し、確実な査定価格を導き出すようにすることが大切です。

売買価格が決定すると、売買契約そして引渡し・決済により不動産売却の主要なプロセスは完了です。次のテーマ「安心できる売買契約と決済・引渡しの方法」をお読みください。