地盤の強度や構造的なことが原因となって増築後にいろんな不具合が出ることがあります。軟弱地盤での増築や混構造になるような増築は住宅の構造上の安全性が低下します。安易な増築計画には注意をして下さい。
増改築の計画 まず構造上のポイントをチェックしよう
一般に増改築といいますが、増築とは、床面積が増える改築工事をいいます。1階に部屋を増築したり、2階部分を増築したりと、家族構成の変化によって行われる事が多いリフォーム工事です。
軟弱地盤の増築ではどこに注意すべきか、軟弱地盤に建つ住宅を増築する場合には、注意すべきポイントがあります。
まず、既存の住宅の基礎に、杭や地盤改良など軟弱地盤対策が行われていたかどうかです。
軟弱地盤対策が行われていない場合には、既存住宅部分は、地盤が圧密され沈下しているケースが大変多く、地盤の状況によっては、いまだに沈下が継続している場合と、落ち着いている場合があります。不同沈下が起きているケースでは、不同沈下を修正しないとせっかく増築したのに、ますます不同沈下が進むことがあります。特に2階の増築では注意が必要です。
1階部分を増築する場合には、増築部分だけに杭工事などを行うと、増築部分は沈下せず、既存部分が沈下していき、やがて、既存部分と増築部分が構造的に分離され、いろんなトラブルが起きます。
構造方式の異なるものが混ざっている構造の増築
在来木造の既存住宅に、ツーバーフォー工法で増築を行うとか、逆にツーバイフォー工法の住宅を在来木造工法で増築を行うなど、構造方式が異なる工法が組み合わさったものを混構造といいます。
1階が鉄筋コンクリートで2~3階が木造や、鉄骨造となっているケースは良く見かけますが、このケースも混構造の一種です。
構造的には、1階の鉄筋コンクリート部分は、基礎と見なされますので、混構造ではあるのですが、建築基準法によって認められていない混構造とは異なります。
鉄骨造の上に木造を増築するとか、鉄骨造の横に木造を増築するというパターンは建築できません。
ミサワホームは木質系の住宅ですが、ミサワホームの上や横に在来木造の増築は出来ません。
このようなミサワホームの例と同様なのは
- 積水ハウス
- セキスイハイム
- 大和ハウス
- パナホーム
などの型式適合認定を受けた住宅は、構造的には特殊な工法になります。
このような型式適合認定の住宅を、在来工法で増築することは構造方式が異なるので、混構造となり、建築は認められていません。
混構造は耐震性能が違う
混構造が認められないのは、耐震性能の異なる構造を組み合わせる事によって、地震時の住宅に対し、予想出来ない力が加わることを防ぐ為です。
耐震性能が異なるといっても、耐震性が高い・低いということではなく、地震時の住宅の動き方が違うという意味です。
地震時の動きが違う事によって、構造方式の違う構造体の接点部分に、局部応力という、非常に強い力が加わります。
この局部応力は、構造計算では予測できない応力です。その為、混構造の建物は認められていません。
増築の際には、構造の違いに注意して下さい。