市街化調整区域は『住宅を建ててはいけない区域』とされているのですが、実際には市街化調整区域内に建つ中古住宅が販売されています。
市街化区域の物件に比較して割安のこともあり、希望している地域に近い市街化調整区域の物件は大変気になるものです。
ここでは、市街化調整区域内で販売されいる中古住宅を購入する時の注意点などをまとめてみましたので、参考にしてください。
市街化調整区域内なのに住宅が建っている理由
市街化調整区域は都市計画によって市街化を抑制する区域として指定された区域です。学校とか病院など特別な建物以外、住宅を含めて建てることはできません。
ところが例外的に住宅の建設が許可されるケースがあります。
- 都市計画法施行前に宅地分譲された土地に住宅を建築する
- 都市計画法施行前から建っていた住宅を建替える
- 農業・林業・漁業を営んでいる人の住宅の建築
販売されている中古住宅の中にはたいへん新しい住宅もありますが、上のケースに該当する住宅は要件を満たすと建替えが可能なので、新しい住宅が販売されているケースもかなりあるものです。
大規模な宅地開発や建売住宅がたくさん建っている市街化調整区域は、開発行為の許可を受けて事業が行われています。このようなケースでは開発された地域が、後に市街化区域に編入されることが多くあります。
市街化調整区域の中古住宅を購入するとどうなる
市街化調整区域の中古住宅は割安な点がメリットですが、購入するとどんなデメリットがあるのでしょうか。
- 学校・病院・商店街などの施設まで遠いなど利便性が市街化区域より劣る
- 最寄り駅まで遠く交通便が悪い
- 公共下水道の整備がされておらず、簡易水洗といれや浄化槽の設置が必要となる
- 都市ガスの整備はされておらずガスは個別プロパンになる
- 将来の転売や賃貸物件としての活用がしづらい
- 土地の価値が低くリバースモーゲッジなどの資産運用には向かない
こんなことが考えられますが、ではメリットにはどんなことがあげられるでしょう。
- 土地の評価が低く固定資産税が安い、しかも都市計画税はかからない
- 市街化区域の住宅地よりは敷地の広い物件が多い
- 近くに畑を貸してくれる人がいて田舎暮らしを満喫できる
- お隣までの離れが割合広くなるのでプライバシーが守れる
都心部の窮屈な人間関係が無く、自然と触れ合いながら心豊かな生活を送ることができそうです。
生涯を過ごしたいという思いで購入するなら、市街化調整区域の物件は魅力的かもしれません。
市街化調整区域の中古住宅を購入する時にチェックしたいポイント
メリットとデメリットを理解すると、市街化調整区域の物件でも、全然問題ないのでは思います。
ただし、市街化区域の物件と異なり、例外的な許可によって建てられた住宅なので、購入した後に増改築するとか、将来的に売却する時に困ることの無いようチェックしておいた方がよいポイントがあります。
- 販売されている住宅が建築された時の建築証明を確認する
- 住宅を建てる際には、特別な許可の他に必ず建築確認という手続きを行って工事を行っています。建築確認済と完了検査済の日付と番号が記載された、建築証明という書類を管轄する自治体から交付してもらうことができます。仲介している不動産会社に要求すると見せてもらえますので、建築証明に記載されている面積と物件の面積に大きな違いが無いか確認しましょう。
- 容積率以外に延床面積の制限がある
- 特別な許可を得る条件の中には、『従前の建物の面積の1.5倍が限度』というものがあります。許可の前提になっている最も古い建物の面積によっては、購入後に増築できる面積の余裕がまったく無い物件もあります。
容積率が200%だからまだまだ増築できる・・・と思っていて、いざ増築しようとすると許可がもらえないケースもあります。 - 農業・林業・漁業従事者でなければ建替えできない
- 農業・林業・漁業の従事者だからということで、許可が下りていた物件の場合、所有者が変わり、新しい所有者が農業・林業・漁業と無縁の人の場合には建替えの許可が下りないことがあります。
不動産業界ではよく再建築不可という物件に出くわすことがありますが、再建築可能な条件について、事前によく説明を聞き充分納得した上で購入するようにしてください。
市街化調整区域の中古住宅に住宅ローンは借りれるの
もうひとつ市街化調整区域の中古住宅で気になるのが住宅ローンです。
建物の担保評価は市街化区域でも調整区域でも同じですが、土地の担保評価はかなり下がります。
土地が安い分物件価格も安いので、土地の評価額が少ないのはあまり問題にはなりません。
ただし、抵当権を行使することになった場合、流通性が低いと判断される地域に建つ物件に対しては取り扱わないこともあります。
また、諸経費を含めた100%融資が当たり前に行われるようになっていますが、調整区域の物件に関しては自己資金割合を多くしなければならない場合もありそうです。
結論としては、調整区域の住宅ローンに関しては金融機関によって異なるので、事前に金融機関に相談するのが一番だと思います。
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