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中古住宅の耐震補強方法を5分で理解できるやさしい解説ページ

中古住宅の耐震補強について、そもそも「耐震診断」とか「耐震改修」とか、どんなことをやり、どんな費用がかかるのかについてお伝えするページです。
中古住宅の売買件数が増加し、リノベーションなどの大規模なリフォーム工事を行うケースも増えています。
新しい技術が導入された新築住宅が建つようになりましたが、築年数の古い中古住宅がまだまだ多く建っているいるのが現状です。
フローからストックへと、住宅業界は中古住宅の流通活性化に向けてシフトしていますが、中古住宅の耐震補強方法に関する正しい知識の普及が必要になっています。

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耐震診断と耐震補強工事を行う耐震改修の必要性

日本は誰もが知る“地震国”です。大きな地震が起こるたびに大きな被害に見舞われ、生活の拠点である住宅が人の命を奪うという悲惨な状況に言葉を失うこともあります。

日本の住宅のほとんどが木造建築ですが、伝統ある木造建築工法に“耐震性能”という概念が生まれたのは意外と新しいものです。

昭和53年(1978年)、今から40年前に宮城県沖地震というマグニチュード7.4の大きな地震が起きました。仙台市や福島市など都市部で震度5を記録する大きな揺れにより、建物約7,400戸が全半壊という被害になりました。

この地震の被害状況が3年後に“建築基準法”改正のキッカケとなりました。

昭和56年に改正施行された建築基準法の耐震規定を“新耐震基準”と言います

中古住宅の耐震性能は昭和56年の6月を境に大きく変わっているのですが、『ウチの住宅は昭和57年だから大丈夫!』とは言えないのが、ここからのお話です。

新耐震基準は実は古い基準だった

“新耐震基準”という言葉を時々聞いたり見たりすることがあると思います。
住宅ローン減税の適用条件の中に「木造住宅で20年を超えた住宅では耐震基準に適合していることが証明された」といった表現がされますが、ここで言う“耐震基準”と、上に書いた“新耐震基準”とは実は違うものなんです。

先ほど書いたように“新耐震基準”とは、昭和56年に改正された建築基準法に基づくもので、昭和56年6月1日以降の建築確認済があるものと、それ以前のものとで“新耐震または旧耐震”と区分しています。

中古住宅の売買契約時に説明する重要事項説明書の中には「耐震診断」に関する項目があり、ここでは、上に書いた昭和56年6月1日以降の建築確認済がある物件に関しては説明する必要が無いとされています。

この表現はあたかも、昭和56年6月1日以降の物件は耐震性能に問題が無いという誤解を生みやすいのですが、単に新築時に「新耐震基準」で建てたものですという意味しかありません。

一方、住宅ローン減税の適用条件に記載される耐震基準に適合していると言う場合の耐震基準は現行の耐震基準を言います。

建築基準法は先ほど触れたように昭和56年に大幅な改正が行われましたが、平成12年(2000年)にも改正が行われており、現行基準とは平成12年改正の耐震基準のことを言います。

平成12年(2000年)に建築基準法が改正されたキッカケは“阪神淡路大震災”(平成7年)でした。この大地震では、ビル・マンションにも被害があり249,180棟が全半壊する大きな被害となりました。

この結果、昭和56年の新耐震基準では大きな地震に耐えることができないことが判明し、平成12年の改正となったのです。

耐震基準の現行基準とは平成12年の改正建築基準法を言います

論より証拠に、新耐震基準で建った平成12年以前の建物を耐震診断すると、多くの物件で倒壊する可能性があるという判定が出ます。

耐震診断の種類

耐震診断は平成12年改正の現行基準に基づいて診断しますが、診断方法には3種類あります。

  1. 簡易診断:住宅所有者でも行える簡単な診断法(参照:誰でもできるわが家の耐震診断
  2. 一般診断:建築士等の専門技術者が行う診断、費用は数万円
  3. 精密診断:建築士等の専門技術者が行う診断で一般診断よりも正確な結果が出る、費用は数十万円(部分的な解体を含む)

耐震改修を行うかどうかまだ漠然としている段階では、①の簡易診断を行ってみて下さい。

耐震改修を真剣に検討する段階では、まず②の一般診断を行ってみて、耐震補強が必要なことが判明したら、耐震補強方法を具体化するために精密診断を行うという流れのほうが、一般診断で耐震改修の必要が無いと判定されることもあり、費用の無駄を抑えることができます。

明らかに耐震改修が必要と判断される場合は、最初から精密診断をされるほうがよいと思います。

専門家が行う耐震診断は基礎から上の上部構造体を評価した結果となる上部構造評点により4段階の判定を行います。

上部構造評点 判  定
0.7未満 倒壊する可能性が高い
0.7以上~1.0未満 倒壊する可能性がある
1.0以上~1.5未満 一応倒壊しない
1.5以上 倒壊しない

評点を求める過程は、けっこう難しい計算式にもとづいて点数を導き出しますが、実際には手計算ではなくアプリケーションソフトを使っています。

*1 一般診断法限定

耐震改修の必要性と工事の費用

中古住宅の耐震補強を検討するには、まず現状の住宅がどの程度の耐震性能を持っているのかを把握しなければなりません。そのために行うのが耐震診断です。
耐震性能が低い場合には耐震補強工事(耐震改修工事)を行う必要がありますが、耐震補強の方法によって工事を行う部位が大きく変わります。

室内側から行うケースと外部から行うケースに大きく分かれ、外部からのケースでは外壁工事がからむため費用は嵩みます。

平均的な工事費のデータは少ないのですが、全国の中でも耐震改修を積極的に行っていると思われる静岡県のデータよると、平均は185万円、中央値は155万円となっています。(平成20年度)

引用:静岡県木造住宅耐震補強ITナビゲーション

耐震補強が必要な場合には、専門家が立案する耐震補強計画にもとづいて工事を行います。

耐震補強計画

耐震診断を行った上で耐震性に問題があるとなった場合、耐震補強工事の内容を検討するのですが、基礎から上の上部構造体にばかり目が行きがちですが、地盤の強度や基礎の強度や劣化状態などによっては、上部構造体よりも基礎の補強を優先しなければならないこともあります。耐震補強工事の方法は、現状の中古住宅を総合的に把握して計画を立てなければなりません。

また、部分的に上部構造の耐震性能を強くし過ぎると、基礎の一部分に非常に強い引張力がかかり、アンカーボルトが抜けてしまって住宅が転倒することもありますので、全体的なバランスを考えながら補強方法を検討します。

耐震補強の方法が決まったら再度耐震診断を行い、現状の判定結果と耐震補強後の判定結果を比較し、満足な結果が得られない場合は再度耐震補強方法を検討します。

1回で耐震補強方法が決まらないこともある

こうして耐震診断を繰り返しながら最善の耐震改修方法を見つけ出し、実際の工事へと進んでいきます。

おまけ~住宅品質確保促進法にもとづく耐震等級とは

耐震診断とは別に「住宅品質確保促進法」に基づく住宅性能表示制度では耐震性能を3つの等級に区分して評価しています。

耐震等級3 建築基準法で定める耐震性能の1.5倍
耐震等級2 建築基準法で定める耐震性能の1.25倍
耐震等級1 建築基準法で定める耐震性能と同じ

品確法による耐震等級と耐震診断による評点とは、紛らわしいのですが

  • 耐震等級は新築住宅の耐震性能を表すもの
  • 上部構造評点は耐震補強による耐震性能の変化を捉えるもの

と覚えておくほうがよいかと思います。

こちらも参考に

平成12年5月以前の新耐震基準木造住宅の危険性を検証する
昭和56年6月以降の木造住宅は“新耐震基準”で建てられていますが、平成12年5月を境にして、5月以前と6月以降とでは、耐震性能に大きな違いがあります。同じ基準で建っているからと安心はできません。もしお住いが昭和56年6月~平成12年5月に建...

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