2018年4月1日から中古住宅(中古マンション)に関する新しい制度がスタートします。
「特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度」というものですが、通称『安心R住宅』と言います。
どのような制度か、中古住宅・マンションの購入を考えている人にとってどんなメリットがあるのかなど、お伝えします。
『安心R住宅』制度の概要
2018年4月から不動産仲介会社のチラシやウェブサイトでは、下のロゴマークが付いた物件を見ることが多くなるかもしれません。
「安心・・・」と表記されるので、購入しても安心な中古物件ですよ・・・
とアピールするロゴマークのようですが、制度の中味を見ていきます。
制度の根幹を分かりやすく表現すると『一定の条件を満たした中古物件には「安心R住宅」のロゴマークをつけることが出来ますよ』ということです。
では一定の条件とはどのようなものかを次に見ていきます。
安心R住宅が備えるべき要件
中古住宅・マンションには「不安」「汚い」「わからない」と3つのマイナスイメージがあります。3つのマイナスを払拭することが出来ると、購入を検討している人にとっては積極的に「住みたい」「買いたい」という心理が生まれるだろうということで、それぞれについて具体的な要件を定めています。
- 「不安」を払拭する要件
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- 耐震性-現行の建築基準法の耐震基準に適合するもの、又は、昭和56年6月1日以降に建築したもの、又は、昭和56年5月31日以前に建築したもので、耐震診断により安全性が確かめられたもの
- 構造上の不具合・雨漏り-既存住宅売買瑕疵保険契約を締結するための検査基準に適合したもの
(ホームインスペクションで不具合や雨漏りが認められた場合で、広告時点において当該箇所の改修が完了しているものを含み、また、広告時点において、既存住宅売買瑕疵保険の申込が受理されて場合は、その旨を情報提供する) - 共同住宅の管理-管理規約及び長期修繕計画があり、住宅購入者の求めに応じて情報の内容を開示すること(ただし、管理組合の承諾が得られた場合)
- 「汚い」イメージを払拭する要件
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- 事業者団体毎に「住宅リフォーム工事の実施判断基準」を定め、基準に合致したリフォームを実施し、従来の既存住宅の“汚い”イメージが払しょくされていること(ただし、建築後の経過年数が極めて短いものは不要)
- リフォームを実施しない場合は、リフォームに関する見積書などを含めた提案書を付け、住宅購入者の求めに応じてリフォーム事業者をあっせんすること
- 外装、主たる内装、台所、浴室、便所、洗面設備の現況を写真などで閲覧できるようにすること
- 「わからない」イメージを払拭する要件
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広告をする際に、物件に関する書類の保存状況等を調査し、以下の項目について調査結果を記載した「安心R住宅調査報告書」を作成・交付し、住宅購入者の求めに応じて情報の内容を開示する
- 建築時の情報がわかる書類の有無について
- 建築確認済証・完了検査済証
- 各種認定等に関する情報
- 住宅性能評価に関する情報
- フラット35適合証明書
- 竣工図
- 維持保全の状況がわかる書類の有無について
- 維持管理計画
- 点検・診断の記録
- 戸建住宅の場合に防蟻処理に関する情報
- 維持修繕の実施状況の記録
- 住宅リフォーム工事・改修に関する書類
- 保険又は保証に関わる情報の有無について
- 10年保証や瑕疵担保保険関する書類
- 給排水設備や住宅設備、リフォーム工事に関する保険・保証の書類
- 戸建住宅の場合にシロアリに関する保険・保証の書類
- 省エネルギーに係わる情報の有無について
- 省エネルギー性能に関する書類
- 窓や玄関ドアなどの仕様に関する情報
- 省エネ設備に関する情報
- 共用部分の管理に係わる情報の有無について
- 修繕積立金の積立状況に関する書類
- 共用部分における大規模修繕の実施状況の記録
- その他の情報
- 住宅履歴情報(住宅の設計、施工、維持管理等の情報)を提供した機関に関する事項
- 登録団体毎に行う、定期点検サービスや住宅ローン金利優遇などの取組内容
- 国・地方自治体、その他の団体から交付を受けた補助金等の実績に関する書類
- 建築時の販売価格や設計・施工業者に関する書類
- 建築時の情報がわかる書類の有無について
以上の要件を満たした物件については「安心R住宅」のロゴマークを付けることが出来るのですが、付けるか付けないかの判断は、実は事業者(不動産会社)が行います。
つまり不動産会社がそれぞれ、自分の会社で販売や仲介する中古物件を、自社で判断して「安心R住宅」と自社で認定するのです。
第三者的な機関が判定する訳ではないところに、この制度の“安心感”がいま一つピンとこないところがあるのですが、一応、事業者が属する団体の指導・監督を受けることになっているので、でたらめな運用は無いとは思いますが、購入を検討している方は、不動産会社から受ける説明を聞き、充分納得してから購入するようにした方がよいと思います。
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