様々な住宅メーカーや工法がたくさんあり、何がよいのか何がどう違うのかさっぱり分からない、という方も多いと思います。実は住宅工法は建て主にとってあまり重要なことではありません。
住宅工法の種類と特徴
○○工法・・・・・こんな言葉をよく見かけますが、住宅の工法ってたくさんあって、よく分からないものです。
工法を分類すると、構造別、構造方式別、断熱方法別、換気方法別、などジャンル別に区分すると少し分かりやすくなります。
- 構造別~鉄筋コンクリート造、鉄骨造(重量鉄骨、軽量鉄骨)、木造(軸組工法、2×4工法)、個別認定工法
- 構造方式別~ユニット方式、パネル方式、合理化認定工法、在来工法
- 断熱方式別~外断熱、充填(内)断熱、外断熱+充填
- 換気方式~集中換気、局所換気、機械換気、パッシブ換気
- 振動対策~免震工法、制震工法
おおまかに分類すると上のようになるのですが、これらに分類されるものが複合されて○○工法と呼ばれたり、各ハウスメーカーの特徴的な工法になっているわけです。
ツーユーホーム | 個別認定工法 | ユニット方式 | |
---|---|---|---|
OMソーラー | 軸組工法 | 合理化工法 | パッシブ換気 |
スウェーデンハウス | 2×4工法 | パネル方式 |
工法によって性能は違うのか
住宅性能は次のように分類されます。
- 強度的性能
耐震性や3階建て・4階建てまで可能といった、強度的な性能 - 耐久性能
構造躯体の耐久性、100年住宅・200年住宅とか - 熱的性能
断熱性や気密性など - 音的性能
遮音性や音響上の性能 - 環境性能
空気やシックハウスとか、換気性能など
結論的には、住宅性能は工法によって大きな違いはありません。
住宅の品質確保の法律によって示されている、各性能値をどのハウスメーカーも最低目標ラインとして設定していますので、大幅に性能が上回る住宅というのはありません。
狭い範囲でいうと、たとえば外断熱と充填断熱では、断熱性そのものはあまり違いは無いのですが、躯体の通気性の面で差があり、結果としては耐久性に違いが出てくるということがあるのですが、では、それが工法を選ぶ大きなポイントになるかどうかは一概に言えることではありません。
例えば、とにかく耐久性能がすごく高い住宅を建てたい、出来れば200年の耐用年数を・・・という建主さんなら、外断熱をお奨めしますが、そこまでの耐久性能を求める人ってあまりいないのではないかと思います。
では、寒冷地の住宅ならどうでしょうか?
この場合は、断熱性能はそんなに変わらないのですが、気密性を確実に確保出来る面で、外断熱をお奨めします。
このように、立地条件や、建主さんが持つ特殊なニーズによって、この工法しかナイ!・・・・・というものはありますが、誰に対しても、絶対にこの工法だ!・・・・・というものはナイ!と考えて下さい。
○○工法は、お客さんを惑わす企業戦略
こんなことを書くと、ハウスメーカーからクレームがきそうですが、もともと日本には木造軸組在来工法しかなかったわけですが、戦後の復興期に入り、住宅不足を補う為に、鉄筋コンクリートパネル(PC版)によるパネル工法が導入され、4~5階建ての公営住宅があちこちに建てられるようになりました。
これが、日本に住宅産業が生まれた最初です。
一戸建て住宅では、南極の昭和基地を設営する為に採用された木質パネル工法が、ミサワホームのスタートですし、ミゼットハウスというネーミングで軽量鉄骨造の“勉強部屋”を発売した大和ハウスとか、積水グループから鉄骨軸組系のプレファブ住宅が生まれ、現在の木質系も販売している積水ハウスになったわけです。
住宅産業の始まりは、短期間で住宅が建つことが、最大のテーマだったのです。
何故なら、首都圏をはじめ、地方の中核都市はアメリカ軍の爆撃によって焼け野原となり、そこに掘立小屋がたくさん建っていたわけです。
とにかく一番早く建てることが出来る方法としては、セキスイハイムがダントツです。
やがて、早く建つことから~一定の質を求めるようにニーズが変わっていきます。
質の中には、性能以外に多様性というものも求められるようになりました。
つまり、プレファブ住宅のような均一・規格型から、多様性のある工業化住宅へと変わっていったのです。
この多様性が求められる時代に、様々な会社が住宅事業へ算入し、ΟΟ工法のオンパレードになってしまったのです。
ハウスメーカー乱立の時代です。乱立していますから、競争も激しいわけです。競争に敗れ撤退する企業も少なからずありました。
あのヤクルトもそのひとつです。
競争に勝ち抜く、ライバルとの差別化を図る為、今も、○○工法がどんどん生まれているわけです。
はっきり言いますが、建主のために、たくさんの○○工法があるわけではナイのです。
ハウスメーカーの企業戦略として、たくさんの○○工法が、生まれてしまったわけです。
その結果、お客さんがただただ迷うばかりになっているのが現状なのです。
もう少し○○工法の種類は少なくてもいいのではと思っていますが、こんなことも言えます。
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