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中古住宅を購入するなら築年数は何年までなら大丈夫?

一般的に中古住宅を購入するなら築20年ぐらいまで、それより古い中古住宅は “築古” と形容詞がつくようにほとんど価値がないと考えられています。しかし中古住宅の価値は築年数や経過年数から計算する耐用年数で考えるのでなく、新築年代で考えるべきなのです。その理由は耐震性能です。

耐震性能は経過年数ではなく、いつ建った住宅なのかが問題です。すこし専門的な話になりますが、中古住宅を探しているかたには重要なことなので、最後まで読むようお願いします。

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購入するなら平成12年6月以降の物件

中古住宅を購入するなら平成12年6月以降に着工した物件。完成は平成12年7月ごろからになりますから築20年(2020年時点で)ですね。

それ以前の物件は「耐震診断」をしたうえで「耐震補強工事」をおこなうことが前提と考えてほしいです。

なぜ! そうなのか?
その理由を以下で明らかにしていきます。

平成12年6月以降とそれ以前の違い

平成12年6月以降とそれ以前とでは住宅性能が違います。特に地震の多い日本においては致命的な “耐震性能” です。

「新耐震基準」という言葉がありますが、この言葉は昭和56年6月から施行された “改正基準法” を指すのですが、昭和56年6月~現在までを一緒くたにされています。
しかし耐震基準の内容は平成12年に大きく変わっています。

*詳しい内容は『平成12年5月以前の新耐震基準木造住宅の危険性を検証する』をご覧ください。

平成12年5月以前の新耐震基準木造住宅の危険性を検証する
昭和56年6月以降の木造住宅は“新耐震基準”で建てられていますが、平成12年5月を境にして、5月以前と6月以降とでは、耐震性能に大きな違いがあります。同じ基準で建っているからと安心はできません。もしお住いが昭和56年6月~平成12年5月に建...

耐震基準の改正とともに変わったものがもうひとつあります。

建築確認や完了検査行政の厳密性!

住宅は建築基準法で定める「4号物件」に該当し、 “建築士が設計した4号物件は建築確認申請の審査を簡略化してかまわない” とされています。

簡略化とはわかりやすくいうと「構造関係の計算書や図面は省略」してよかったということ、つまり確認申請でおこなうはずの行政チェックはおこなっていなかったのですが、耐震基準の改正よりきちんとチェックする自治体が増えたのが平成12年6月です。

それ以前は、基準そのものが緩いものであり、チェックすらされていなかった物件が多数ある……これが実態なのでした。

「平成12年6月」が重要なキーワードです。築年数や耐用年数は関係がないことがポイントです。

建築確認手続きと改正基準法との関係

建築基準法の改正はたびたびおこなわれています。2000年6月1日から施行された改正法により、新耐震基準がより強化されました。

では6月1日前後に建築確認申請をおこなった物件、あるいは確認済証が交付された物件がありますが、改正法が適用されるのはどのような物件かを知っておかなければなりません。

改正された建築基準法の関連法令は6月1日から適用されるのですが、すでに着工済の場合は改正前の法令によります。

6月1日以降に着工する物件が改正法令の適用を受けるので、5月31日までに確認された物件でも着工が6月1日の場合は改正後の法令になるのです。

ポイントは着工日がいつか? が問題です。

改正法が適用される条件をまとめると以下のようになります。

  1. 建築確認申請日が6月1日以降
  2. 建築確認済証交付日が6月1日以降
  3. 建築確認済証交付日が5月31日以前だが着工日が6月1日以降

常識的には5月31日以前に確認済がされた物件は同日に着工が可能なので、№3のケースは考えられません。そこで、建築確認済証交付日が6月1日以降であれば、改正法により建てられた物件となります。

建築確認済証交付日はどのように調べるか?

物件が所在する市町村の「建築確認」担当部署にいき、 “建築計画概要書閲覧” を申請します。すると確認申請時の計画概要書に加えて、「確認済証」や「検査済証」の交付年月日や番号がわかるようになっています。

建築計画概要書閲覧は誰でも申請できるもので、市町村に保管されているものであれば、昭和40年代まで遡ることができる自治体が多いはず。

耐震補強工事で築年数の古い住宅の耐震性能は向上する

平成12年5月以前の中古住宅でも耐震補強工事をおこなうと、耐震性能の高い住宅に変えることが可能です。耐震補強工事により築年数が経過した住宅であっても、耐用年数を延長させることが可能だということです。

ここでは耐震補強工事の手順と耐震性能が向上する理由について説明します。

耐震補強工事の手順

耐震補強工事は次のステップによりおこないます。

  1. 現況調査による確認
  2. 耐震診断のための準備
  3. 耐震診断
  4. 補強計画
  5. 補強検証
  6. 耐震補強工事
現況調査による確認
耐震診断の前に現況をできるだけ正確に把握することが大切。
耐震診断のための準備
耐震診断に必要な各種データを整理します。
耐震診断
専用ソフトにより診断をおこないます。
補強計画
耐震診断の結果により補強すべき部位や方法を決めます。
補強検証
策定した補強計画にもとづき耐震診断をおこない検証します。
耐震補強工事
検証結果にもとづき実際の補強工事に着手します。

耐震診断により現状の耐震性能を把握することからスタートします。耐震診断により耐力壁のバランスがチェックできるので、耐力壁を追加する方針が決まります。

  1. バランスがよくなるように耐力壁を追加する
  2. 接合部の金物補強により耐力壁の強度をあげる
  3. 耐力壁仕様を変更し耐力壁の強度をあげる

以上にもとづき補強計画を立て、計画後の状態を再度耐震診断をおこない、耐震性能の検証をおこないます。補強計画でいい数値がでるようであれば、計画にもとづいて実際の工事に着手します。

耐震性能が向上する理由

耐震補強工事をおこなうときの基準は平成12年6月改正の基準になります。昭和56年の新耐震基準よりも厳しくなった基準です。

そのため耐震補強工事をおこなった住宅は、平成12年の改正基準にもとづく耐震性能を持つことになるわけです。耐震補強工事は耐力壁などの構造部材の交換などもあり、ここでも耐用年数を延ばす効果が期待できるでしょう。

さらに耐力壁の仕様変更は既存の壁を一度解体して工事をしますので、材料は新しいものであり接合補強金物も新しいものになります。

このように使用材料の交換を伴う工事になるので、耐力壁は新築した頃のものとは大きく向上した耐震性能を持つことができるのです。

リノベーションに欠かせない耐久性

平成12年5月以前の中古住宅をリノベーションするさいは、耐震補強工事をおこなうことを検討しましょう。 “新耐震基準” の住宅だからといって安心はできません。

平成12年を境にして住宅の耐震性能が大きく変わったことは、すでに述べたとおりです。

工務店やリフォーム専門工事店にリフォーム工事の相談をされるケースが多いと思いますが、平成12年の改正基準法を知っているひとは意外と少ないです。

不動産の専門家である宅地建物取引士にも知らないひとを何人もみてきました。知っているのは「建築確認申請」を実務とする、建築士事務所やハウスメーカーの設計部署のスタッフぐらいで、住宅のプロを自称するほとんどのひとは “昭和56年の新耐震以降” であれば安全だと考えているようです。

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