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大工不足のリフォーム業界は2030年を切り抜けられるか

人手不足が様々な業界で問題になっています。建設業界でも同様で、外国人労働者の受入れが進んでいますが、量よりも質が問われるリフォーム業界ではもっと深刻な問題となっています。ここでは住宅リフォームでの大工さん不足の影響について考えてみます。

2030年には大工さんの人数が2010年と比較して半分になる、と予測されたこの記事が昨年話題になっていました。
人手不足の深刻化により、飛躍的な生産性向上が求められる建設現場
新築住宅の着工戸数が減少しているにもかかわらず、需要を大幅に割り込む可能性のある供給量。新築よりも熟練した技能が求められるリフォームの現場では、リフォームしたくても出来ない“リフォーム難民”が増えると予想されます。

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AI搭載のロボットでは施工できない住宅リフォーム

建設現場ではロボットによる建築作業の研究開発が行われています。大手ゼネコン各社が開発に取組んでいますが、ハウスメーカー大手、積水ハウスが2020年に実用化を目差している「天井石こうボード張りロボット」のネットニュースを見た方も多いと思います。

  • 重い材料を持ち上げたり移動する
  • 決まった間隔と強さでビス打ちする
  • 均等な厚さで断熱材を充填する

など、ロボットの方が正確で効率的に行うことができる作業は、住宅の建築現場ではたくさんあり、ロボットによる省力化はかなり期待できると思います。
ただ、一つだけ条件があって、ロボットが自由に動き回れる作業スペースの確保が必須です。

住宅リフォームは、施主の生活スペースがリフォーム作業スペースとなり、家財道具や生活備品が置かれた中での作業になってしまいます。
ロボットの稼働範囲を確保する為には、スペースに余裕のある住宅でなければなりませんが、3LDK、100㎡程度の日本の住宅では、条件を満たすことのできる住宅はかなり少ないでしょう。

マニュアル化できない技術の伝承

新築住宅では今後もますます工場加工のウェイトが多くなり、現場作業は少なくなっていきます。
作業手順やジョブコーディネーションもマニュアル化できるので、現場での職人さんの経験値はあまり問われなくなっていくと思います。

外国人労働者の採用も新築現場では、ある程度の事前講習によって可能になるでしょうし、将来予想される新築需要と供給力のギャップ解消は、合理化努力によってなんとかなるように思いますが、問題はやはりリフォーム現場です。

ゼロから造る住宅と、すでに完成した住宅のリフォームでは、仕事の仕方・作業の手順がまるで違います。

失敗しないリフォーム会社の選び方」で書いたように、一つとして同じものは無く一件ごとに手造りするものです。

マニュアル通りに素人でもできるというものではありません。
一つの作業が終わると次の作業に移る際には、今終えた作業によって既存の状態に変化が起きています。その変化の状態に合わせて次の作業の方法を検討するという面倒なシーンが何度も出てきます。

とてもマニュアルを作って経験の少ないに「ハイ!どうぞ」ということはできません。
熟練した大工さんや他の職人さんが、ひとつひとつの現場で状況に合わせた仕事を行っている様を見ることによって、はじめて理解できることがたくさんあります。

大工さん不足でもリフォーム難民にならない方法

大工さんが減っていくのは確実ですし、避けられないことです。
大工さんの賃金を上げてなり手を増やすなどの意見もありますが、建設コストの上昇という面もあり疑問です。

大工さんが減少することを前提に、住宅リフォームの将来像を描いてい見ます。

簡単な修繕工事はDIYでやってしまう

  • 石こうボード下地の壁に羽目板を張る
  • 簡易間仕切り風の収納棚を造作する
  • ランバーコア合板をカットして収納ボックスに組立てる
  • 仕上げ製材を使ってスノコ風引出を作る
  • 見切り縁を接着して腰壁風のツートーンにする
  • 使わなくなった収納部材でパソコンカウンターを造る

以上は、管理人が実際にDIYで造ったものです。

ホームセンターでそろえることのできる部材の種類は、年々増えています。
プロ専用の資材が揃っている“スーパーデポ”があちこちに出来て、ほしい資材は大体入手できます。
どうしてもできない物はネットで購入です。

大工さんでなくても出来ることって意外とありますし、思い通りの仕上がりに満足感も。

シェアリングサービスの活用

依頼者と工事職人を直接結び付ける“シェアリングサービス”も今後活発になっていくでしょう。

職人マッチングサービスとして評価の高いクラフトバンクなど、リフォーム専門店ではなく個人事業でやっている職人さんに直接仕事を依頼する。
他の職種のコーディネーションを必要としない、単一なリフォームの仕事は直接職人さんに頼むことが主流になるかも知れません。

昔は町内にいる

  • 畳屋さん
  • ガラス屋さん
  • 表具屋さん
  • 左官屋さん
  • 屋根屋さん
  • 水道屋さん

など、職人さんに直接頼むのが当たり前でした。
しかし、建設業界の合理化や系列化が進み、職人さんの存在が見えなくなっていましたが、再びつながりを持てるしくみが出来つつあります。

4つ以上の職種が関係するリフォームは専門工事店へ

内装工事・木工事・配管工事・電気工事と、4つ以上の職種が関係するリフォームは、作業の手順や細部の納まり等、総合的に判断できる経験豊かな工事管理が必要です。
大工さんが社長をしている工務店などは、大工さん自ら工事の管理をすることが多いのですが、大工さんが手間請けの場合は、別に工事管理する人が大体いるものです。

リフォームでは工事内容を、職人さんたちに伝える設計図面などが用意されていないケースが多く、各職種のコーディネートの良し悪しが、工事日数や仕上りに影響します。
そして各職種の中の中心的な役割が大工さんになります。

大工さんが不足すると一番困ることは、中心的な存在がいないと現場がうまくまとまらないことです。
その為、リフォーム専門店にとっては大工さんの確保は何よりも大事なことで、大工さんがいなければ廃業する工務店も出てくるでしょう。

不足する大工さん、そして件数が減っていく工務店。
需要に対して供給が追い付かないリフォーム業界事情。人手不足を解消する方法が、DIYと職人シェアリングを活用しながら、複雑なリフォーム工事だけをリフォーム専門店に依頼するという使い分けです。

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