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「特定空港周辺特別措置法」に関して説明すべき重要事項と法律の背景

空港周辺地域は航空機による騒音が生活環境に大きな影響を与えることになり、その対策として、特定空港周辺特別措置法と航空機騒音防止法により、土地利用の制限と騒音に対する補償が行われています。不動産の売買においては土地利用の制限を定める「特定空港周辺特別措置法」について、重要事項説明時に説明の必要があるとされていますが、ここでは特定空港周辺特別措置法とその他の騒音対策について解説します。

特定空港周辺特別措置法の正式名称は「特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法」と言い、説明すべき規定の内容は次のとおりです。

第五条 航空機騒音障害防止地区(航空機騒音障害防止特別地区を除く。)内において次に掲げる建築物(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物をいう。以下同じ。)の建築(同条第十三号に規定する建築をいう。以下同じ。)をしようとする場合においては、当該建築物は、政令で定めるところにより、防音上有効な構造としなければならない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校
二 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条の五第一項に規定する病院
三 住宅
四 前三号に掲げる建築物に類する建築物で政令で定めるもの
2 航空機騒音障害防止特別地区内においては、前項各号に掲げる建築物の建築をしてはならない。ただし、都道府県知事が、公益上やむを得ないと認め、又は航空機騒音障害防止特別地区以外の地域に建築をすることが困難若しくは著しく不適当であると認めて許可した場合は、この限りでない。
特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法最終更新日:平成29年3月29日公布

つまり特定の建築物については“防音工事の義務”又は“建築の禁止”が規定されています。

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特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法による建築物への制限

「特定空港周辺特別措置法」が適用されるのは現在時点で、成田空港だけです。

特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法施行令(平成29年3月29日公布)
(特定空港)
第一条 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(以下「法」という。)第二条第一項の規定により特定空港として指定する空港は、成田国際空港とする。

制限を受けるのは法第5条に記載されている、学校、病院、住宅以外に施行令で、乳児院、保育所、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設、家庭的保育事業、小規模保育事業、事業所内保育事業、診療所、助産所、救護施設、更生施設、授産施設、特別養護老人ホーム、障害者支援施設、障害福祉サービス事業施設、幼保連携型認定こども園が対象になります。

制限を受ける区域については、成田市が公開している騒音区域関係図(平成25年8月作成)で確認できますが、実際の取引では成田市役所で再確認していただければと思います。

特定空港周辺特別措置法以外の騒音対策

特定空港周辺特別措置法以外の騒音対策に関する法令は2種類あります。

「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」の概要

航空機騒音防止法は空港の設置者に対して騒音により生ずる障害の防止を義務付けする法律です。

対象となる空港は、成田国際空港、大阪国際空港、それに、函館空港、仙台空港、東京国際空港、新潟空港、松山空港、高知空港、福岡空港、熊本空港、大分空港、宮崎空港、鹿児島空港及び那覇空港です。

“障害の防止”とは具体的にいうと、防音工事に対する補助のことで補助を受けることのできる施設は、学校、病院、保育所、障害児入所施設、児童発達支援センター、家庭的保育事業、小規模保育事業または保育事業または病児保育事業を行う施設、身体障害者福祉センター、障害福祉サービス事業施設になります。

その他、騒音の障害が特に著しい区域にある建物等を、移転したり除却する場合の損失を補償することもできるようになっています。

「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」の概要

航空自衛隊の基地は日本全国に25ヶ所あり、自衛隊機から発せられる騒音は民間航空機の比ではありません。
低空でジェット戦闘機が飛行すると屋外での会話も出来ないほどです。

航空機による騒音の障害防止の為、防衛省は防音工事に対する補助を行っています。
対象となるのは、学校、病院、診療所、助産所、住宅です。

さらに航空機騒音防止法と同様、移転や除却に対する補償も行っています。

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