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不動産売買契約の重要事項説明書に添付すべき書類とは

不動産売買契約の前に説明する重要事項説明書にはいくつかの添付書類があります。説明する項目に関連する詳細な参考資料や、買主の利用計画にとって必要な資料が含まれています。これらの添付書類について、取得方法や説明するポイントを解説します。

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一般的な土地・建物の重要事項説明に添付する書類

不動産売買の重要事項説明書に必ず添付する書類についての説明です。

売買契約書(案)

売買契約書のは必ず添付する書類中で最重要なものです。
重要事項説明は売買契約の当日または、事前に、つまり契約締結を行う前に説明します。売買契約の内容を充分に買主に理解してもらい、売主との合意によって契約締結されるわけですが、一般的には重要事項説明までの期間に、契約書の内容のすり合わせを行いますので、よほどのことが無い限り、売買契約書(案)と同一の内容で契約することがほとんどです。

とは言っても、重要事項に説明を受けることによって、契約書の各条項を修正する必要が出てくる場合もあります。
その為、重要事項説明の最後に、売買契約書(案)を読み上げ、買主・売主双方の理解と承認によって、売買契約書を作成することが原則になります。

登記事項証明書

説明するまでも無いと思いますが、売買対象物件の登記簿謄本です。現在はCP化されたので「登記事項証明書」と名称が変わりました。
登記事項証明書は法務局から交付してもらいますが、法務局に行かずにパソコンから申請することもできます。
詳しくは 登記・供託オンライン申請システムをご覧ください。

法務局に直接行く場合は手数料は印紙によりますが、オンライン申請では電子納付になります。詳しくは 電子納付による手数料等のお支払いについてをご覧ください。

登記事項証明以外にも登記の現在事項を確認する方法があります。
こちらもオンラインでできる、登記情報提供サービスです。

登記の内容が確認でき、pdfファイルで出力できます。
住宅ローンの申し込みをする際、登記事項証明書ではなく、登記情報提供サービスにより取得したファイルのプリントでよい金融機関もあり、買主の承諾があれば登記事項証明書に代わり、こちらの登記事項データを添付することもあります。

土地測量図、公図および建物図面

土地の地積測量図、土地の公図(地図)は法務局に保管されているので、法務局に直接申請して交付してもらうか、上記のオンライン申請または登記情報提供サービスを利用して書類を取得します。
区画整理や国土調査による地籍調査の結果、法務局保管の地積測量図が閉鎖されている場合は、市町村の担当部署から測量図を交付してもらいます。

公図は土地の位置を表すもので寸法は一切記載されていませんが、隣接する土地の地番確認に必要です。融資申し込みにはだいたい必要になりますので添付します。

対象不動産に建物がある場合は、法務局に保管されている建物図面も交付を受けて添付します。

道路図面

建物を建てる敷地は道路に接していることが必要な接道義務があります。
接道義務を満たす道路には要件があり、種類と幅員が決められています。

対象不動産に接する道路が要件を満たしているものでることを証明する為、道路図面を添付します。
道路図面は道路を管理している行政機関で交付を受けます。

  • 国道・都道府県道-都道府県道路管理部署
  • 市町村道・認定道路・指定道路-市町村道路管理部署

上水道・下水道図面、ガス管埋設図

上水道や下水道は市町村で、ガス管は供給しているガス事業者から図面を交付または閲覧・複写してもらいます。
上水道に関しては個人情報保護により、給水装置台帳や管理図の閲覧は制限されており、埋設管の閲覧・複写のみとなります。

給水装置台帳や管理図の閲覧が必要な場合は、所有者の委任状または媒介契約書の提示によって可能になります。

都市計画図

都市計画を施行している市町村の中には、都市計画に関わる制限の内容を図面にして交付する自治体が多くなっています。

  • 用途地域、建築証明
  • その他の地域地区
  • 建蔽率・容積率
  • 条例による建築制限

これらは取得した不動産を利活用する際、建物の増築や改築あるいは新築する為の建築確認申請及び建築計画に必要な情報です。

対象不動産に建物がある場合、当該建物の新築時や増築時の建築確認及び検査済の年月日や番号を、市町村や都道府県の建築指導課などで調べますが、ほとんどの自治体で建築証明という文書を交付してくれます。

建築確認済証明と検査済証明それに計画概要書をセットにして添付します。
新築時に計画変更があった場合、計画概要書は複数ありますが、最も年月日の新しいものを複写してもらいます。

ハザードマップ

地震、津波、台風、洪水、土砂崩れなど、日本は自然災害の多い国です。
全国の地方自治体ではこれら自然災害の危険性を周知するため、各種のハザードマップを作成しリスク管理を行っています。

重要事項説明書には「宅地造成等規制法」「土砂災害防止対策推進法」「津波防災地域づくりに関する法律」に基づく、以下の区域についての説明項目があります。

  • 造成宅地防災区域
  • 土砂災害警戒区域
  • 津波災害警戒区域

これらの区域内に対象不動産がある場合はもちろんですが、区域外であっても周辺の危険性を知っておきたいと考える買主も多く、対象不動産に関係するハザードマップは添付書類として渡すことが望ましいと思います。

固定資産評価証明書

対象不動産の評価額を証明する公的な書類です。
土地に関しては、この他「路線価」や「公示地価」が土地価格の基準になるものですが、固定資産評価額がベースになっており、所有権移転登記の際の登録免許税は固定資産評価額によって算出します。

評価額は1月1日現在の価額を算出しますが、評価証明に反映されるのは3月末~4月にかけてです。
売買の時期や引渡しの時期によって添付する評価証明書の“年度”が変わる場合がありますので注意が必要です。

重要事項説明書説明資料

不動産売買では対象となる物件の利用にあたっては、建築に関わる「建築基準法」「都市計画法」に加えてたくさんの法律による規制を受けます。
対象物件の所在地によって関係する法律も変わり、それらの関係する法律の抜粋を“説明資料”として買主に渡します。

全宅連のサイトでは、重要事項説明書・売買契約書の様式に加え、これらの関係する法律の抜粋をダウンロードして印刷するようにしています。
関係する法律の図書をコピーするよりも手軽に書類の準備ができますし、必要と思われる部分のみを抜粋しているので、買主にとっても読みやすくまとまっています。

隣接地の所有者一覧(登記事項要約書)

不動産売買の対象となる物件は、ほとんどが他人名義の土地が周りにある状態です。
周りにすでに建物が建っている場合もあれば、空地が隣接している場合もあります。建物が建っていても所有者が住んでる場合もあれば、賃借人が住んでいることもあります。

隣接地の所有者情報は買主にとって知っておきたい情報のひとつです。
また、筆界の確認をする上でも隣地所有者の情報は、媒介業者にとっても必要なものです。

登記要約書は誰でも取得することができるので、個人情報保護の対象とは言えないまでも、抵当権の記載などもあるので、登記要約書から所有者情報を抽出して“隣接地の所有者一覧”を作成することが望ましいと思います。

区分所有物件の重要事項説明に添付する書類

区分所有物件の添付書類は上に記載した書類に、次に示す書類を加えます。

  • 管理に係わる重要事項調査報告書
  • 管理規約・使用細則

管理に係わる重要事項調査報告書、管理規約・使用細則

分譲マンションは区分所有者で構成される“管理組合”が主体となり、マンションの管理を行っていますが、多くの場合、専門の管理会社に業務を委託しています。
マンションの管理会社は国土交通省に登録し、一定の要件を満たすことになっています。

区分所有物件の売買では管理に係る重要な説明事項があります。

  • 物件名称・総戸数・総棟数
  • 管理費の金額と滞納額(対象物件と管理組合全体)
  • 修繕積立金(対象物件の月額と管理組合全体の積立金総額)の金額と滞納額(対象物件と管理組合全体)
  • 大規模修繕計画と修繕履歴
  • 共用部に関する規約
  • 専用部分の使用細則
  • 管理組合の名称
  • 委託する管理会社の名称・住所・登録番号
  • アスベスト使用調査の内容
  • 耐震診断の内容

以上のような項目について管理会社からの調査報告書を添付します。

調査報告書に加えて、管理規約と使用細則などの原本の写しを、管理組合若しくは管理会社から提出してもらい添付します。

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