重大な瑕疵による損害賠償や売買契約解除など、建築トラブルを解決する為に行なう裁判は、民事訴訟の手続きによって進めます。
訴訟手続きは、当事者が行なう分には、弁護士などの代理人に依頼することも無く、自分で行なうことが出来ます。
訴訟内容によっては、瑕疵工事の立証をする為、建築士などの調査が欠かせません。
裁判官や弁護士は、建築のプロではありません。調査結果の報告書に、専門用語をたくさん並べた
論文のようなものを提出しても理解はされません。
誰もが『これはひどい!』と感じる、大きなヒビ割れとか、鉄筋がそのまま見える基礎の写真といったものの方が、裁判官への印象は強くなるようです。
ちょっとだけコラム

以前、私が関わった民事訴訟の話です。
火打ち梁の不足や床梁のたわみ、基礎の床下換気口の不足などがあったのですが、最も重大な欠陥と感じたのは、外壁通気層の施工方法でした。
ある大手建材メーカーの外壁材だったのですが、通気が出来ないような施工方法になっています。
当事者である施工会社の現場担当に問いただしたところ『施工マニュアル』に従って行なったとの回答でした。
メーカーの施工マニュアルを確認すると、確かに間違った方法で書かれています。
ところが次回の公判がある1ヶ月後、いつのまにかメーカーの施工マニュアルが変更されていました。
外壁通気層の不備は、すぐに不具合の現象としては現れません、しかし、住宅の耐久性に関わる重大な問題です。
公判で証人として出廷した私は、この点を指摘したのですが、裁判官や弁護士には理解されず、最後まで欠陥事実の争点としてはなりませんでした。
原告・被告の言い分に大きな違いがあり、白か黒かを明確に出来ない場合、裁判所が
和解を勧告することがあります。
当事者それぞれにとっては、妥協をしなければならない内容となりますが、裁判の早期終了につながりますので、ほとんどは和解を求めてきます。
その背景には、欠陥住宅という建築技術に精通していないと理解できない現象に対し、専門的かつ技術的に因果関係を立証し、判決を出さなければならないという、建築素人には非常に難しい仕事であるという面があります。
和解勧告がされた場合には、例外もありますが、多くは和解に応じた方が良いと思っています。
和解の勧告は、判決を出すことが出来ないという裁判所の意思表示でもあるのです。